2012.06.13
「ジェットスター」の戦略とは・・・。LCC元年という中で!
LCC各社の比較は、多くのメディアによって既に報道されています。しかし、主に「運賃」と「利用者の使い勝手」が中心であることが特徴です。
「大飯原発再稼働」を強行しようとする政府の物言いは、「絶対的な安全などはない。出来るだけのことはしている。コストのためにはやむを得ない」というのが主な点です。
航空においても、過去大事故が起き、多くの人命が奪われることがあっても、その教訓を根本的に生かす姿勢には未だ転換しているとは言えません。「虚の安全」にとらわれているのが実状でしょう。政府の繰り出す「安全への規制緩和」は、まさにこのことを指し示していると思えます。
国際的航空界では、「人身無事故」という角度から見れば、カンタス航空は、「安全」の代名詞として誰もが認めています。また、ドイツのルフトハンザ航空は、整備面においてはコストの多少があってもいまだ自社整備体制を敷いています。オイルの値上がりなどでコストアップが一律に迫られている中でも、安全にはそのエアライン固有のポリシーを堂々と打ち出していることは「業界の誠」という面もあります。
「ジェットスター」はカンタスの子会社であり、JALと提携している側面もあり、アジア一の安全を誇ってもらいたいと期待するものです。
旅客サービスについて言えば、「スカイマーク」と違って「苦情対応」に相当なパワーを使うということも明言しており、これも利用者の快適性追求からいえば、良き方向でしょう。
取りあえずのコメントを発します。
報道関係者に公開されたジェットスター・ジャパンの初号機
(Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg via Getty Images)
格安航空会社(LCC)のジェットスター・ジャパン(本社:千葉県成田市)は12日、7月3日より就航を開始するジェットスター・ジャパン初号機の機内及び機内サービスを紹介する報道関係者向け内覧会を実施したと発表した。 公開されたのは、国内6路線を運航するA320型新造機。シートピッチは71cm以上で総皮張りシート180席を有している。なお、足もとが広いエクストラ・レッグルーム・シートをオプションとして購入することも可能となっている。また同時に、日本人顧客の好みに合わせた特別な機内食メニューも発表した。顧客の様々な要望に応えるため、機内食は17種類の飲み物(アルコール飲料6種類、冷たい飲み物8種類、温かい飲み物3種類)、10種類のフードメニュー(弁当1種類、スープ3種類、おにぎり2種類、そば1種類、サンドウィッチ3種類)、およびスナック8種類を用意した。機内食は、世界最大手のケータリング会社の日本子会社であるゲートグルメジャパンが提供する。 ジェットスター・ジャパンの鈴木みゆき代表取締役社長は、「お客様は、ニーズと予算に応じてご自身の旅を自由にアレンジすることができるようになる。受託手荷物が必要なお客様、足もとの広いシートをご希望するお客や、機内食をご希望のお客様は、オプションでご希望するサービスをご購入いただける。このように、必ずしも必要とされないサービスを有料化することで、すべてのお客様に低運賃で空の旅をお楽しみいただける」と述べている。
トップインタビュー:ジェットスター(前)、国内線就航に向けた戦略
2012年6月12日(火)日刊トラべビジョン
7月3日、国内線に初就航するジェットスター・ジャパン(GK)。すでに運航を開始しているピーチ・アビエーション(MM)などとともに注目を集めているが、同じ「LCC」でも旅行会社との関係などビジネスモデルは各社で異なる様子。すでに、ジェットスター航空(JQ)グループ全体で営業と販売をコーディネートし、組織間の人的交流も含めて取り組む方針を示しているが、GKはどのように市場を分析し、どのような成長の青写真を描くのか。JQの日本支社長としてGKに出向し、就航準備を進める片岡優氏が語る戦略を、2回に分けて伝える。(聞き手:弊誌編集長 松本裕一、4月下旬に実施)
-組織面での準備状況をお聞かせください
片岡優氏(以下、敬称略) 4月付けでJQ日本支社の組織変更をおこなった。JQ東京支店長であった中田茂が商品開発兼パートナー・ホリデーズ事業部長に就任した。この部署は新設したもので、アンシラリーレベニュー(※機内食や毛布など追加的サービスの販売による収益)を管理する。また、マーケティングでは、これまではすべてメルボルンで管理していたが、JQ日本支社の中にマーケティング部を新設し、日本で活動できるようになった。ジェットスター・ジャパン(GK)が販売を始めるにあたって、営業とマーケティング、アンシラリーレベニューの3部門の強化が必要だと認識しており、JQグループとして日本支社の組織を大きくし、人数も増やしている。販売方法としてはこれまで通り、JQ、ジェットスター・アジア航空(3K)、GKなどグループすべての便の販売に責任を持っていく。 このほか、外注だが、これまでメルボルンで対応していた日本語コールセンターも国内に開設した。GKの就航にあたって、サービスレベルを上げるねらいだ。メルボルンは35名だったが、札幌に110名規模のものを開設し、福岡にもバックアップとして40名のコールセンターを設けている。福岡はコールセンター機能に加え、お客様相談室、いわゆる苦情対応窓口を開設する予定だ。ここでJQ、3K、GKすべての問い合わせや苦情に対応する。-プライスビートギャランティー(最低価格保証)はどのように実現するのでしょうか
片岡 申請済みの国内航空運賃をベースに、国土交通省と最低価格保証のスキームを話し合った。国土交通省の見解としては、運賃であれば毎回申請を上げなければならないため、運賃ではなく、独自のバウチャーを使って運賃の差額を補填するというやり方であれば航空法に抵触しないのではないかという助言を得た。この助言に基づき、最低価格保証のスキームを作り上げた。具体的には、GKが1万2000円で売っていた時に、他社が1万円の運賃を出していたとすると、最低価格保証として他社よりも10%安い9000円で提供する必要がある。この際、お客様にはひとまずGKの1万2000円の航空券を予約していただき、差額の3000円分のバウチャーを発行する。バウチャーはその航空券の支払い時に使うことができるほか、その次の旅行でも利用可能だ。 お客様には、GKよりも安い他社の運賃を見つけられた際に、プライスビートギャランティーデスクに電話をしていただく。担当者が、フライトの日時のほか、受託手荷物の有無など運賃条件などが同じであると確認できれば、最低価格保証を適用する。そこで初めて予約を作成するため、購入してからより安い運賃に気付いても対象にはならない。
-LCCは新規需要を開拓するといわれますが、GKのターゲットは片岡 ターゲットについては、よく「若年層か」などと聞かれるが、特に年齢層で区別していない。ポケットマネーで乗る人と会社のお金で乗る人と分けると、ポケットマネーの人は基本的にはコストを一番考えるだろう。1000円、2000円安かっただけでは増えなくても、半額、あるいはそれ以上に安い運賃であれば需要は増えていくはずだ。
例えば、沖縄では現在は片道2万5000円であるとか3万円という運賃が流通しているが、我々は6990円から提供する。そのレベルの運賃差を出せば、今まで行かなかった人が行く可能性や、1年に1回であった人が2回、3回になる可能性もある。 すでに航空券の販売を開始しているが、始めた瞬間にかなり先の分まで予約が入ってきている。我々は来年の3月まで予約できるようにしており、早く買えば安く買える運賃形態としているため、まったく新規の需要を取り込めていると思っている。
-ビジネス需要の可能性はあるとお考えでしょうか
片岡 成田と関空発着であるため、ビジネスにはさほど期待していない。むしろ、純粋なレジャーに加えて、単身赴任者や東京などに大都市に出てきている学生などが多くいる中で、出身地と現住所との間で家族や友人、親類などの相互の行き来の増加につながると期待している。LCCというと旅行需要ばかり見られがちだが、それだけではなくて、我々がオーストラリアでも東南アジアでも重視しているのは「VFR(Visit Friends and Relatives)」の伸びが非常に大きいこと。旅行は販売網を作ったり、パッケージを作ったりと時間がかかるが、VFRは思いついた時にぱっと買っていただけるのでタイムラグがない。 全座席に占めるVFRの割合は、30%かそれ以上を見込んでいる。残りの60%か70%が旅行で、ビジネスは5%程度といったイメージでいる。テレビCMで、空港でおじいさんやおばあさんが孫を出迎える、あるいは恋人同士でどこかに行く、といったシーンを取り上げているのは、VFRを意識したものだ。
トップインタビュー:ジェットスター(後)、グループ展開と他社との差別化
2012年6月12日(火)
-JQ、ジェットスター・アジア航空(3K)、GKの3社が日本に就航していますが、どのように路線網を構築する計画でしょうか
片岡優氏(以下、敬称略) まず、GKの国際線については、2013年中に近距離アジアに就航予定だ。基本的には成田または関空からになると思うが、路線などはまったく決まっていない。就航地などを発表するタイミングも未定だ。 3Kについては、関空/シンガポール線をかなり増便していて、今年の夏ダイヤからは台北経由は週7便増の週14便、マニラ経由も新規就航で週4便。両路線ともに非常に好調だ。JQも週4便でダーウィンからマニラ経由で成田に飛んできている。ダーウィン線は就航予定日から1週間分、4便をキャンセルしてご迷惑をおかけしてしまったが、お客様には振り替えか全額払い戻しと、ご迷惑料としてバウチャーをお送りして対応した。 もともとJQグループとして日本に飛ばしたのは長距離線用の機材であるエアバスA330型機だったが、途中地点を経由することでA320型機でも飛べるような路線が加わってきている。今後は、GKを含めてA320による近距離国際線のネットワークは来年以降、非常に大きく増えると思っている。 さらに2013年にジェットスター香港も設立予定で、日本就航を検討していると発表している。このため、東南アジアの、特に日本発着の近距離国際線ネットワークは、JQ、3K、GK、ジェットスター香港の4社で一つのジェットスターブランドとして、かなり濃いネットワークを構築できるのではないかと考えている。-グループ4社が同一地域で営業する上での戦略は
片岡 基本的には、どちらの航空会社で飛んでもジェットスターブランドで売るので、販売方法は変わらない。後は運航形態や路線権の問題があるが、仮に2社に路線権があって両方とも飛ばすとすれば、考えることは時間が重ならないようにすることだ。 また、1社のみであれば、どちらが飛ばした方が得なのかということも考える。例えばジェットスター香港が飛ばした方がコストが安いのであれば、日本側はジェットスターブランドで売ることに専念するという方法もある。 3Kについても、実際にはJQ便などと同一のプラットフォームで販売する。便名が変わって運航する航空会社が違うだけで、プロダクトはすべて同じという考え方。JQ、3K、GK、あるいはジェットスター・パシフィック(BL)も一つのウェブサイトで購入でき、旅行会社向けの端末「スカイスピード」も同様だ。 このように色々な使い分けができ、一番の選択肢を複数社で考えられるという点で、非常にフレキシブルな運航が可能だ。-新興LCC3社が注目を集めていますが、LCCの中での差別化は
片岡 我々には、これまで5年間LCCとして運航してきた実績がある。ジェットスターのブランド構築に費用と時間を投じてきており、それなりに認めてもらってきている。 さらに、カスタマーサービスでも、他のLCCと差別化している部分もある。例えば便が遅れてオーバーナイトディレイする場合にも、ホテルでの宿泊を出したり、他社便に振り替えたり、リファンドしたりと細かいルールが決まっている。「LCCは何もしてくれない」などといわれるような会社にならないようにしようとやってきた。この実績を市場に理解してもらえれば、大きく差別化できるだろう。
-日本航空(JL)との連携についてはどのようにお考えでしょうか。またカニバリゼーション(市場の食い合い)への対策をお聞かせください片岡 連携は今後出てくるとは思うが、今はJL便とのコネクションまで考えて細かくスケジュールを設定する余裕がない運航形態だ。もちろんGKの株主であり、可能性を考慮していくとは思う。 カニバリゼーションはある程度起きるだろう。JLと数年単位の時間を費やして話を煮詰めてきた中で、その内容のほとんどがカニバリゼーションについてだった。しかし、それを最小限に抑え、それよりもプラスの方が多いという結論に自信を持って至ったので、今回JLも出資をしたということだ。オーストラリアでは、JQができてからカンタス航空(QF)の実績もわずかだが伸びており、実質的にカニバリゼーションは起きなかったといえる。
-直販比率の目安など、日本市場での流通戦略をお聞かせください
片岡 それぞれの地域によって売り方を変えている。ジェットスターはこれだ、と決めてしまうと失敗することが多いと思う。例えば、オーストラリアでの直販比率は80%で、他の航空会社からのインターラインも15%程度入る。東南アジアでも直販が80%程度だが、BLでは、パソコンの普及率がまだ低いため、カウンターを多数置いており、直販比率も低い。 日本でも、これまでオーストラリアと東南アジアの国際線を売ってきたが、旅行会社経由の売上が約6割。GKにしても、最終的には最大限にジェットスターのブランドと運賃をお客様にお伝えするために、直販もしつつ、旅行会社にパッケージや団体、修学旅行、エアオンなどすべて取り扱っていただこうという方向になっている。 オーストラリアでの創業以来、我々はできる限り安い運賃を提供して、できる限り旅行に行っていただき、楽しい思いをしていただきたいと社員全員が願っている。それがようやく日本の国内線でも叶う段階に来た。地方と大都市との格差を旅行業も含めて活性化し、日本を元気にできるのではないか。旅行会社の皆様もそういった形で一緒に盛り上げられるように、ご協力いただければ非常に嬉しい。

コメント
一外航勤務者様
いつもコメントありがとうございます。
JALが長年、国内幹線がたたき出す利益で国際線をつないできたという経営は、相似していると思います。情報ありがとうございます。私ももう少し突っ込んで研究したいと思います。
投稿者: 秀島 一生
カンタスグループは6月が決算月ですが、カンタス国際線事業は昨年の2億1千6百万豪ドルの損失のなんと倍以上の4億5千万豪ドルの赤字を計上する予定だとか。欧州金融危機や燃油費高騰などにより、厳しい環境にあるのはどこも同じですが、ジェットスターの国際線はそれでも黒字なのでしょうか?カンタスはジェットスターの国際線単体での収支は発表しないので詳細はわかりません。LCC、LegcyCarrier問わず燃油は等しく一番大きなコストのはずですが、それを補って余りあるほど人件費その他が安いのでしょうか。豪での報道を見ると、カンタスがジェットスターにsubcidizeしてそのため本流の国際線赤字が拡大しているのでは?との観測もあります。本当のところがどこにあるのか、興味津々です。
投稿者: 一外航勤務者
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