2012.05.01
事故が起きてから取り上げるメディア!「格安」と引き換えに進行していた危険な「規制緩和」悲惨なバス事故のことです。
「コストカット」で追い詰められれば、「格安」に打ち勝つために「安全運航経費」ここで言えば、「500キロを超えるルートでもバス運転手一人乗務」という点にしわ寄せがでています。更にこれが「業界の常識」となっていても、「規制緩和」を強化する早期な決断がないばかりに・・・大事故を招いています。
「起きると思っていた事故」 TDRでバス運転手に聞く
朝日新聞デジタル 2012.4月30日
「いつか起きると思っていた」「起こるべくして起きた事故」。多くのツアーバスが駐車場で帰りの
客を待つ東京ディズニーリゾート(TDR)で、運転手たちは業務の過酷さを口にした。
関越自動車道で死亡事故をおこしたバスと同じ石川県を前夜に出発、29日早朝に着いた男性(45
)は、もう1人の運転手と2時間おきに交代しながら運転してきた。「それでも、事故が起きた時間帯はいつも眠くなる。どれだけ寝ても体のバランスが取れない」 やはり北陸地方から来た男性(47)は「1人では負担が大きすぎる。2人で交代しないと無理」と話す。しかし「大型連休やお盆は運転手が足りない。ふだんは2人で走っていても、この時期だけは1人で走る会社も出てくるのでは」。 甲府市から早朝、約40人を運んだ40代の男性は、駐車場に並ぶ関西や北陸地方のナンバーのバスに、運転手が1人でいるのを見かけることがある。「道中の仮眠をどうしているのだろうと思っていた」 「いつか起きると思っていた」「起こるべくして起きた事故」。多くのツアーバスが駐車場で帰りの客を待つ東京ディズニーリゾート(TDR)で、運転手たちは業務の過酷さを口にした。
関越自動車道で死亡事故をおこしたバスと同じ石川県を前夜に出発、29日早朝に着いた男性(45)は、もう1人の運転手と2時間おきに交代しながら運転してきた。「それでも、事故が起きた時間帯はいつも眠くなる。どれだけ寝ても体のバランスが取れない」
下請け運行「経営ギリギリ」 関越道の7人死亡事故
朝日デジタル.2012.4月30日
安さと手軽さで急成長してきた高速ツアーバス業界。群馬県内の関越自動車道上り線で高速バスが防音壁に衝突し、多数の死傷者が出た事故を起こした運転手は「居眠りしていた」と話しているという。競争の激化で安全面へのしわ寄せの懸念が高まり、国が新たな対策を始めようとしている矢先の惨事だった。
朝日新聞デジタルに特集「格安バス、競争激化」
「格安! 快適! 高速バス!」。今回のツアーを企画した「ハーヴェストホールディングス」(本社・大阪府豊中市、大屋政士社長)のホームページには、そんな言葉が躍る。首都圏や関西と東北・北陸・九州などを結ぶツアーが100以上並んでいる。金沢と東京ディズニーリゾートを結ぶツアーは、曜日によって値段が変わるものの、片道3千円からと格安だ。事故にあったバスが出発した28日夜発の便は3500円で、鉄路でJRを利用すると1万円を超す区間。この区間でJRバスが運行している路線バスも最低で5千円する。
2010年3月にJRの寝台特急「北陸」と急行「能登」が廃止されて以降、北陸地方では特に価格競争が激しくなっている。あるバス業者は「十数年前にはバス1台あたり30万円ほどで委託を受けていたが、最近では約20万円まで下がった」と嘆く。事務経費を削り、「ギリギリの経営」をしているという。
1995年に旅行業登録したハーヴェスト社が、高速ツアーバスに参入したのは約7年前。バスの運行は自社バスのほか、各地の約100社のバス会社と契約して、下請けさせている。
同社の説明では、ゴールデンウイーク期間中はかき入れ時で、金沢発の路線もバスを増発する。このため、普段は委託していない「陸援隊」(千葉県印西市、針生裕美秀社長)にも運行を委託していた。陸援隊への委託は1年ほど前からあり、今年は初めてだったという。
路線バスのように、固定したバス停や切符売り場のないツアーバスは、乗客の集め方もインターネットを活用するなど新しい。 事故に遭った45人のツアー参加者のうち、ハーヴェスト社が住所など連絡先をつかんでいたのは15人。残りの30人については「楽天トラベル」の予約サイトなどを経由しており、申し込みの代表者の氏名と携帯電話番号などしか把握できない仕組みだった。
◇
〈高速ツアーバス〉 高速道路を長距離移動するバスには、道路運送法に基づく路線バスと、旅行業者などが旅行業法に基づいて企画し、貸し切りバスを使って運行するツアーバスの2種類がある。路線バスは決まったルートを走って停留所に止まる運行形態だが、ツアーバスの中にも、連日ルートを固定して事実上の路線バスのように運行されている例がある。
相次ぐ参入、安全面に影
朝日デジタル.2012.4.30
貸し切りバス事業の推移
格安の高速ツアーバスの競争はなぜ激化したのか。 バブル崩壊後の経済振興策として、国土交通省はこの10年あまり、規制緩和を続けてきた。貸し切りバス事業の分野では2000年、地域でバスを増やす必要が生じたときにだけ新規参入を認めるやり方を改め、条件さえ整えば参入できるように道路運送法を改正した。02年には、リフト券付きのスキーバスなどの例外を除いて認めてこなかったツアーバス事業を旅行会社に解禁した。 貸し切りバス会社の数は爆発的に増えた。緩和前の99年度には全国で2336社だったが、09年度には2倍弱の4372社に。「高速ツアーバス連絡協議会」の調べでは、高速ツアーバスの乗客は05年の約23万人が10年には約600万人に激増した。
サービスの多様さがさらに人気を呼んだ。従来の高速路線バスにはなかった豪華なバスや、逆に安価にこだわる会社などが登場。女性専用に特化した路線など、乗客がニーズによってバスを選びやすくなった。
その一方で、競争の激化が安全面に影を落とし始めた。同省の調べでは、08年度の貸し切りバス会社に対する安全監査で、運転手の運転時間が長すぎたり、健康管理が不十分だったりする何らかの違反行為があった会社は、バスの貸し切りだけをしている会社より、ツアーバスを手がける会社の方が2割ほど多かった。
今回、事故が起きたツアーでは運転手は1人だった。同じ金沢と首都圏を結ぶ高速路線バスを運行するJRバス関東では、途中の長野県で運転手を交代させ、そのほか3回の休憩時間を設けている。安全に直結する運行のあり方にも会社ごとに差が生じている。
ツアーバスの下請けをしている関東地方のあるバス会社によると、過当競争で下請けの運行代金は下がり続けているという。「燃料費や人件費、車両の消耗費を引くと、利益はほとんどない。でも車を動かさないと会社がつぶれるから、結局は旅行会社の言いなりになるしかない」
旅行会社が客を募集するものの、道路運送法上の安全責任を負うのはバス会社。そのため、安価なツアーを立てた旅行会社が安全コストを度外視した発注をする例もあるという。
対策のため、国交省は10年12月から有識者による「バス事業のあり方検討会」を立ち上げて議論をスタート。今年3月30日、旅行会社にバス事業の許可を取らせて安全面の責任も負わせ、違法行為があった場合の罰則強化を盛り込んだ最終報告をまとめた。
いずれも今年度から来年度にかけて導入する予定だったが、今回の事故を受け、さらなる見直しもあるという。「対策を立てた矢先だったのに」。国交省の担当者は話した。
◇
〈加藤博和・名古屋大准教授(交通・環境計画)=国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員=の話〉 客数によって運行台数を自由に増便できる高速ツアーバスは、利用者のニーズと重なり、数を伸ばしてきた。だが、ツアーバスの運行は貸し切りバス会社に委託されており、企画した旅行会社は事故が起きても法的に責任をとる必要がない。バス会社は零細が多く、旅行会社に無理を言われてものまざるをえず、運転手らの労働量は過重になりやすい。催行会社が責任を問われる立場になれば、安全に配慮するようになる。検討会の報告書では、運行を路線バス会社に一本化し、一方で禁止されていた貸し切りバス会社への委託を認めるよう提案している。貸し切りバス会社は過当競争に陥っている。認可を受けるには車両数は5台以上と決められているのに、従業員数には厳格な規定がなく、運転手は風邪を引いても働かざるをえないという声も聞く。小規模事業者の参入規制や、国交省の監査強化なども必要だ。
※関連弊ブログ;
○悲惨!海外バス事故!「格安運賃・格安ツアー」との因果関係は?
安全管理はどうなっているのでしょうか?
○こんな”ぎりぎり”で運航していたの? スカイマークの運休トラブル
○JR西福知山線事故から2年。公共交通機関のあるべき姿が問われている!
○交代なしの『長時間連続操縦 フライト』は、大丈夫なのだろうか?

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