2012.05.15

「放漫・癒着」の体質は、改められているのだろうか。「再上場」へのお膳立てに沸く「JAL」

「JAL破綻」の原因が、少なくとも4000億円以上に及ぶ「放漫経営」「特定労働組合との癒着」「政治・官僚との癒着」にあると指摘し続けてきました。

「オリンパス」は、法的にも証拠固めがされて「歴代経営者の刑事責任」まで問われる事態となりましたが、JALでは、歴代経営者の誰ひとり「放漫経営」の責任をとらないばかりか、政権与党の票田である「連合」に所属する(献金する)JAL内の特定労働組合を優遇し、当該労組とうちうちで取引しながら、経営を続けてきています。経営者は、現社長の植木氏を除いてすべて当該労働組合幹部出身です。

憲法・労働三権さえ無視した解雇・不当労働行為の数々は、つとに有名で「ANA」では、反面教師として同じようなことを行わず、社内モチベーション高揚に成功しているといわれています。山崎豊子原作・角川映画「沈まぬ太陽」でも象徴的に描かれています。

そもそも、「不採算路線を切り」「1万6千人も解雇を含めてカットし」「銀行団から5200億円の借金棒引き」することででてきた史上最高の純利益「1866億円」なので、業界では当然の結果と受け止められていると思います。

これからの問題は、「安全快適」で世界の舞台で「FLYナンバーワン」を勝ち取ってきた時代のように「商品を大事にする経営姿勢」へと転換できるか、にかかっているように思えます。

◎気になること・・・。

※話はそれますが、最近のニュースでは「野田首相が日中韓交渉に政府専用機で出かける」光景を目にしました。JALではジャンボ機が燃料を食うのですべて退役させ、787機に買い替え中ですが、それが真実なら政府専用機もアメリカ並みに787・777・エアバス340あたりにすれば良いのに・・・なにしろ国税を使って予備のジャンボ機まで待機させ引き連れているのですからね。

※早稲田大学の戸崎肇教授は「人件費の増加に注意が必要」と指摘する。という報道ですが、同氏は、「安全に対する技術規制緩和委員会」の委員でもあり、整備などの現場部門の人件費を厚くすることにくぎを刺されているのかもしれない、と気になるところです。http://hideshima-issei.air-nifty.com/blog/2012/05/post-e5d9.html

http://hideshima-issei.air-nifty.com/blog/2012/04/lcc-6b27.html

JAL、過去最高益 リストラでV字回復 12年3月期

朝日新聞 2012.5.15

 経営再建中の日本航空が14日発表した2012年3月期の決算は、営業利益が2049億円、純利益が1866億円でともに過去最高だった。売り上げは減ったが、経営破綻(はたん)にともなう大規模な経費削減が効いた。今秋に予定する再上場に向けて、リストラに頼らずもうけを出せるかが問われる。
 12年3月期の売上高は1兆2048億円と前年同期より1割減った。東日本大震災の影響による旅行控えや、定員の少ない小型機を増やしたことが原因だ。それでも本業のもうけを示す営業利益は前年同期の1884億円を上回り、2年続けて過去最高を更新した。  減収なのに利益が増えたのは破綻を機に大規模な経費削減を実施したからだ。1万6千人を削減し、燃費が悪い飛行機は売却、赤字路線の廃止も踏み切った。  「放置していたムダを徹底的になくす努力を続けてきた」。稲盛和夫名誉会長は14日の会見でこう語った。経費削減には、稲盛氏が部門別の細かな採算管理を導入したことも奏功した。破綻する前は、路線ごとの収支が2カ月後まで分からない「どんぶり勘定」だったが、翌日に分かるように改め、利用客数に応じて小型機を飛ばす効率化をはかれるようになった。

 経費削減だけではない。日航は破綻した会社なので、法人税の負担が軽減されている。銀行団に借金約5200億円を棒引きしてもらったため、利子が減って経費節減につながった。

 ●収益力強化、不安視も

 日航の業績のV字回復は、「民主党政権で数少ない成功事例」(航空関係者)とも言われる。ただ、「リストラ頼み」から抜け出し、好業績を続けることができるかは未知数だ。 14日発表した13年3月期の業績見通しでは、売上高が1兆2200億円とわずかに増えるが、営業利益は1500億円と大幅に減る。はやくもリストラ効果が薄れる見込みだ。  日航は今年2月に発表した中期経営計画で、国際線の拡大など、リストラ一辺倒から成長路線への転換を打ち出した。燃費効率が高いボーイング社製の最新鋭中型機「787」を国際線の主力機として計45機発注したが、購入経費もかさむ。

 人件費も増える傾向にある。今夏の賞与は給与2カ月分で、11年の1カ月分よりも増えた。「ふつうの会社に戻るため」(日航幹部)というが、全日空の1・5カ月分よりすでに多く、早稲田大学の戸崎肇教授は「人件費の増加に注意が必要」と指摘する。大手との競争に加え、格安航空会社(LCC)がシェアを伸ばすなど経営環境は厳しさを増す見通しのため、経費が増えると競争力が落ちるおそれがある。  日航株の96・5%を持つ企業再生支援機構は、今年9~10月にも再上場させたい考えだ。株を長く持ってくれる引受先を探しているが、日航と同じ航空連合「ワンワールド」に加盟する英ブリティッシュ・エアウェイズの親会社が興味を示しているぐらいで、「本命」とされていた国内大手銀行や生保会社などはそっぽを向いている。日航の収益力が高まることを確信できないでいるためだ。

 (南日慶子、伊澤友之)

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コメント

政治が「自民政権時代」の政策に限りなく回帰している現在、航空の政策も「御法度とされた安全面への規制緩和」も拡大の一途。官民そろって「瞬間的な利益拡大」へ向かうばかりです。見た目は、「格安運賃で利用者に顔を向けている」「ずさんな航空行政のつけを回され、地方自治体ともども赤字で沈みゆく地方空港がLCCで救われる」「航空と観光立国が同期しているかのような幻影」を映し出しているだけに、ことは重大だと思っています。私がJALに在籍乗務したのは30年に過ぎませんが、この間に「ニューデリー」「モスクワ」「クアラルンプール」「羽田沖」「御巣鷹山」と5回の墜落事故を起こしました。「安全へのコストカットが何を招くのか」体験してきました。航空機の機材技術も発展してきましたが、動かすのは「人間」です。これまでの教訓を生かした「健全な航空経営」を願うばかりです。

投稿者: 秀島

沈まぬ太陽を地で行くストーリー、
現在東証に上場しているエアラインの株価が示すとおり子の国の航空会社には未来が有りません、官僚と政治家の餌食で有り続けています。
鳴り物入りで日航株が再上場するそうですが、買っても大丈夫なものですかね?

投稿者: 田中 秀樹

スマイルさま

何かを感じた時、コメントをお待ちしてます。
ありがとうございます。

私は、誰よりも「日本航空を愛している」と確信しております。

投稿者: 秀島

初コメです
JALって独特の空気を醸し出しています。昔から日本航空が大好きです。昔の(失礼)クルーの方々のご意見は貴重だと思います。

投稿者: スマイル

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