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2012.05.30
「中国の需要、この20年で2400機」とボンバルディア社!日本のMRJはどこまで食い込めるか!
世界の小型機のシェアは、ブラジルの「エンブラエル社」か、カナダの「ボンバルディア社」がこれまで独占してきました。そこに、中国・ロシア・日本(MRJ)が割って入る形で開発競争中です。MRJはどこまで食い込めるか!以下はボンバル社の売り込み模様です。
Bombardierの「Get More」Q400 NextGen旅客機ワールドツアーは、中華人民共和
国に到着
TORONTO, May 29, 2012 - (JCN Newswire) -
Bombardier Aerospaceの先進技術を駆使したQ400 NextGen旅客機は、ワールドツアーの5つ目の訪問地として、中華人民共和国の北京に到着しました。ロシアと独立国家共同体でのデモ飛行と地上展示の成功の後、「Get More」の特別塗装をしたQ400 NextGen旅客機は、メディア、政府職員、見込み客の皆様を、中国、日本、モンゴルへ一連のデモ飛行を行いました。
「Bombardierは、次の20年に、中国で保有される商用航空機のうち、新規納機分の市場は、米国に続いて、僅差で世界第2位の規模になると予測しています。中国における20~149座席の航空機の機材数は、今後20年間に300%成長すると見込まれています。」と、Bombardier Commercial Aircraft中国・北アジア販売担当VPのAndy Solemは述べました。「Q400 NextGen航空機は、その燃料効率、運航柔軟性、運航コストの低さ、環境への影響の少なさ、乗客にうれしい内装などにより、主な地方都市、産業都市、観光名所などをつなぐハブや路線を計画している地元航空会社とリース会社にとって優れたソリューションとなっています。」
「中国の60~149座席分野の商用航空機の需要は、約2,400機分に上るとBombardierでは予測しており、中国国内の航空会社、サプライヤ、利害関係者などと緊密に協業して、機材やインフラの拡張を支援しています。」中国の20~149座席セグメントは、小規模なベースから始まったものの、今後20年間には2,540機に達する見込みです。また、100~149座席セグメントは1,440機、リージョナル航空機(60~99座席)では870機の大きな需要があります。
現在、中国、日本およびモンゴルで、100機以上のBombardier Dash 8/Q-SeriesターボプロップおよびCRJリージョナル・ジェットが運航されています。「Bombardier Aerospaceは先日、中国の航空業界と協業する専門チームを発足しました。これは、国内航空機産業をサポートする中央政府の計画に緊密に沿ったものです。弊社は自社を、中国の国内製品を補完する立場に位置づけています。」と、Bombardier Aerospace,中国本部長で責任者のAlbert Liは述べました。「このため、Q400 NextGen航空機のアジアツアーを歓迎します。この地域でのさらなる拡大はBombardierの主要施策です。このため、成長する中国航空市場と航空会社との長期的関係を確立しつづけています。」Bombardierは、Q400およびQ400 NextGen航空機428機の正式発注を受けています。納機された航空機は、世界6大陸30か国約40社により運航されています。これらの航空機は、1.77億人以上の旅客を運んできました。飛行時間は3200万時間以上、離発着回数は3500万回以上を記録しています。
Q400 NextGen航空機について
Q400 NextGenターボプロップ旅客機は、カナダ、オンタリオ州トロントにあるBombardierの施設で製造されています。Q400航空機の進化の歴史の中で、もっとも最近開発された機種で、BombardierのDash 8/Q-Series航空機ファミリーをさらに先進的にした後継機です。短距離運航用に最適化された70~80座席のQ400 NextGen航空機は、「快適で環境にやさしく」騒音が少なく燃料効率の高い、大型で高速のターボプロップです。同機は、環境フットプリントを節減しつつ、快適な乗り心地と経済的な運航コストを理想的なバランスで提供しています。
Q400 NextGenの特徴は、LED照明、新型の天井パネル、皿形の窓のついた側壁、さらに大きくなった頭上収納棚などの、拡張された客室環境です。これらの機能は、同機の能動的騒音・振動抑制(ANVS: Active Noise and Vibration Suppression)システムとともに、旅客の皆様にすぐれた客室環境を提供しています。
Q400航空機は、環境関連の標準を塗り替える機種で、定員数の同じ旧機種と置き換えられた路線で、燃料使用量を30~40%節減し、排ガス量を30~40%減少しています。Q400航空機の最大巡航速度は360ノットで、ジェット機と交代可能なオンデマンド方式のスケジュールで飛行することができます。しかし、280ノットに抑えた場合、Q400は、1シート当たりの燃費が他のターボプロップ並みに低く、それでいて、いくらかのスピード優位性も保っています。
※参考 「中小型ジェット旅客機の開発促進」検討委員会と委員名簿
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2012.05.26
「無事で良かった!」空は、ひとたび間違えれば・・というセンシティブな世界です。「安全への構え」が大切です。
25日の「成田空港」は、緊迫した状況でした。。
エバー航空が離陸滑走を中止 成田で滑走路一時閉鎖
asahi 2012.5.25
25日午後2時25分ごろ、成田発台北行きのエバー航空2197便がトラブルのため離陸滑走を中止した。乗客181人と乗員11人の計192人にけがはなかった。主車輪から煙のようなものが出ているのを管制官が発見し、A滑走路を約50分閉鎖して点検したが、異常はなかった。この影響で出発の計3機に最大13分の遅れが出た。 国土交通省成田空港事務所によると、離陸滑走を開始した際、計器がタイヤ圧力の低下を示したため、急ブレーキをかけて滑走を中止したという。機体にも異常はなく、同機は約2時間後、台北に向けて出発した。デルタ航空機が緊急宣言で着陸 成田、タイヤに異常検知
asahi 2012.5.2525日午後5時5分ごろ、成田空港の北約145キロの上空付近で、デトロイト発成田着のデルタ航空275便がタイヤ圧力が計器に表示されないとして緊急事態を宣言し、その後、成田空港に着陸した。乗客365人と乗員17人の計382人にけがはなかった。A滑走路を約5分間閉鎖した影響で、出発の計4機に最大12分の遅れが出た。 国土交通省成田空港事務所によると、タイヤに異常はなかったといい、計器か、タイヤの圧力を検知するセンサーに不具合があったとみられるという。
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2012.05.24
「航空科学技術委員会」の議事録です。ご感想あれば・・・お聞かせください。
私は、管制分野の問題に特に関心を抱きました。過密化するばかりの狭い日本の 「MRJ」のコンピューターシステムはアメリカから買わねばならないのでは・・・。 縦割りと言われている日本の行政。国交省と文科省はどういう風に連携しているのでしょうか。 今後も注視してまいりたいと思います。 |
航空科学技術委員会(第37回) 議事録 |
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世界は狭くなったけれど、その蔭で・・・悲しい報道も!
悲しい報道に、同じ仕事を共有した者として、深く哀悼の意を表するものです。
私が初めて国際線の乗務についたのが1968年。数えてみれば、44年も前になります。1ドルが365円の頃です。当時は、半年ほどの手厚い訓練期間を経て海外に出ました。訓練内容で今でも「鮮明」に憶えているのは、当時の各ステーション(JALの寄港地)での滞在のあり方つまり行動の仕方まで教えられていたことです。
基本的には、外地(こういう呼び方でした。内地と外地です)では、日本人も少ないので数人の女性を伴っていれば、「JAL・日本航空」ということがすぐわかる。危ないところへの出入り、不衛生な食物の摂取などは、厳に慎むように。滞在中といえども、服装もマナーも、見られているということを常に意識を持つように、という教えでした。
例えば・・・(くれぐれも当時のことですが)
外貨との交換:
「ローマ」(切り下げ前のリラの頃)では、ExchangeRateが有利な「闇交換」で騙されるケースが多発している。「アテネ」「モスクワ」でも同様なことあり。
治安:
パキスタン「カラチ」では、どこのエアラインも乗員は、便数の関係(次の飛行機が来るまで待つ)で、滞在が1週間ほどということもありました。パンナムのCAが行方不明になって出てきた時は、眼を潰されていた。行動には気をつけて・・。
イラン「テヘラン」ここも3~4日STAY。 (パーレビ国王統治時代でした)目立つ派手な格好はしない。国王への敬意を保つ行動を。バザールなどへ行くときも単独では行かない。遠くへの物見遊山は避ける。
「ニューヨーク」では、地下鉄には乗らない。(当時は男女を問わず危険でした。)CAがホテルレキシントンのチェックアウト直前に拉致された。レストランで夕食に向かうために縦にばらけて歩行中の最後尾にいたCAが拉致され、しばらく同行のものが気がつかなかった。また、強盗に会う場合もあるので、多額の現金を持ち歩かず、ホールドアップされた場合は所持している10ドル20ドル札程度をすぐに出す。
UAE「アブダビ」・・・ラマダンなどの宗教的問題。アルコールの摂取、男女間の距離、などなどマナー上の問題に特に気を付ける。
などなど過去の例と現状、対処の仕方などを細かくinfoされていたものでした。
一般的に、選択の仕方によっては旅行費用の格安化、インターネットの浸透などで、驚くほど世界が狭く近くなりました。その一方で、日本の治安もかつてのNYCのように悪くなる一方ですが、世界的に見ればまだまだ良い方です。外地のどこに行ってもまるで日本にいると同じように行動している旅行者も多く見かけられるような気も致します。
「日本人は、治安や危険に対して無防備」とよく言われます。
悲劇の繰り返しの無きように、旅行・ロングステイを問わず、現地の歴史や情勢をよく見て慎重な行動をしたいものと感じます。
ドバイで邦人客室乗務員殺害容疑 同居チュニジア人逮捕
朝日デジタル 2012.5.23
アラブ首長国連邦(UAE)からの報道などによると、ドバイの警察当局は22日、地元航空会社の客室乗務員で、20代の日本人女性を殺害したとして、同居している20代のチュニジア人の男を殺人の疑いで逮捕した。男は容疑を否認しているという。 女性は4月25日に、自宅マンションで首を絞められて殺害されたとみられる。地元メディアによると、女性は浴室で死んでいたという。容疑者の男が警察に通報したといい、男は調べに対し、「帰宅したら女性が死んでいた」と話しているという。
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2012.05.22
足下に迫る・・「空の安全」の危機!スカイマークに「厳重注意」とのことだが・・・。
これまでも幾度となく繰り返されてきた「スカイマーク」の「コストカットに起因した運航トラブル」や「過酷・過重勤務」です。 「厳重注意」などで済ましてよいのでしょうか。
また、「国内高速ツアーバス事故」の原因が日に日に明らかになってきています。
過去の航空の問題も監督官庁が「見て見ぬ振り」をしてきたということが明らかになれば、その責任は厳しく問われることになります。
そういう意味でこの時期に「厳重注意」とは・・・ことによると「『スカイマーク』が人身に及ぶ事故をも起こしかねない!」という危機感を抱いているのかもしれません。
利用者にとっては、「良い方向」ですが、ぞっとする現実でもあります。
弊ブログ:安全の規制緩和について
スカイマークだけでないLCC関連の航空トラブル:
航空トラブル:FDA機 不具合で名古屋空港に引き返す
航空トラブル:ピーチ、関空に引き返す
<スカイマーク>国交省が厳重注意 安全上の支障が6件
毎日新聞 5月22日(火)21時9分配信
国土交通省は22日、スカイマークが2~5月に管制の指示した航路を逸脱したり操縦士に超過勤務をさせたりするなど、安全上支障のある事態が6件あったとして厳重注意した。6月5日までに改善策を報告するよう求めている。
国交省によると、問題の事態は▽成田空港で2月26日、出発時に航行を管理するシステムに航路の入力を完了せず離陸し、予定の航路を逸脱
▽3月27日の成田空港着陸時、管制の指示通り航行管理システムに航路を入力せず航路を逸脱
▽茨城空港で4月22日、2本の滑走路のうち管制の指示と異なる滑走路に着陸
▽4月30日~5月1日、国交省の通達で国内線では操縦士に24時間中8時間を超える乗務を禁じているのに、1人に対し9時間36分乗務をさせた。勤務時間も社内で13時間以内と定めていたが、15時間34分勤務させた--など。
スカイマークは10年4月、操縦士が飛行中の操縦室内で記念撮影していたなどとして業務改善勧告を受けている。【桐野耕一】
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2012.05.17
飛行中の雷について
航空機への落雷頻度は、手許に正確な数字は得られませんが、世界中の航空機のことを考えると、毎日どこかで被雷していると思います。
私の30年乗務の中では、5回ぐらいでしょうか。
航空機は、乱気流や雷を受けやすい「積乱雲」キュムロニンバスを縫って航行しています。日本の夏場や東南アジアを飛行された方は、窓外から積乱雲をしばしば見かけられると思います。フライトプランでは、それまでの情報を反映させ、また飛行中にレーダーと目視を併用しつつ、積乱雲を縫うように飛びます。しかし、そちこちに雲が立っているときは、やむを得ず雲の中を飛行せざるを得ない場合もあります。
こうした時に機体に落雷を受けても、「放電する装置」・・・放電索・・stastick
discharger 直径1センチ長さ10センチ~数十センチの棒が各翼(補助翼など)に取り付けられています。 たとえば、ジャンボ機などの大型機では、50本ほど装着されています。また普段機体に生じている静電気をこの棒を通じて空中に放出しています。
落雷を機体(胴体・翼)に受けた場合も、この装置から空中に放電されるようになっています。また、大容量の雷を受けても、計器に支障をきたすような過重な電圧が流れないように「防護機器・・サージ防護機器」も備えています。
2009年、エアフランス機が赤道近くの大西洋上に墜落するという事故がありました。仏政府は、原子力潜水艦まで動員して、海中深くまで調査し、ブラックボックスを回収。主に「速度計の故障」などが直接原因ではないか、という解明をしています。この時の天候は、やはり、厚い積乱雲に囲まれ、激しい乱気流と雷に見舞われたという推測もされています。
今回の大統領フライトは、こうした過去の事例を配慮して、大事を取ったものと推定できます。
日本では、過去大きな雷を受けて、翼にダメッジを受けたことも・・・・2005年JAL機 しかし、乗客乗員怪我なく無事着陸。
2005年のゴールデンウィーク中に、九州の宮崎と鹿児島上空で旅客機2機が落雷にあったという事例もあります。
5月1日の午前8時40分ごろ、福岡から宮崎に向かっていたJAL3623便(MD81)が高度約5,000メートルの上空で右翼に被雷。同機はそのまま飛び続け、定時の午前8時に宮崎空港に到着しました。乗客乗員に被害はなかったものの、翼の表面に約25センチの損傷があったようです。
同じ日の午前11時過ぎ、鹿児島県の東約27キロ、高度約5,000メートルの上空では鹿児島発羽田行きのJAL1864便(ボーイング777)が右側車輪ドア付近に被雷。こちらも乗客乗員にケガはなく、また機体にも損傷は見つかりませんでした。
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2012.05.16
「引き返す」とは・・・よほどの雷雨だったのでしょう。オランド仏大統領機!
搭乗機に落雷…就任直後、初外遊のオランド大統領
2012年5月16日10時38分 読売新聞
【パリ=三井美奈】オランド仏大統領が15日の就任後、初の外遊先ベルリンに向かった飛行機が離陸直後に雷に打たれ、パリ郊外の飛行場に引き返した。大統領は別の飛行機に乗り換え、予定より約1時間遅れで到着した。けが人はなかった。独仏首脳会談の開始も約2時間遅れた。 この日、パリの天候は不安定で、オランド氏は就任パレード中に降雨に見舞われ、ずぶぬれになった。
「航空機の場合、雷にどう備えているのか?」「なぜ、引き返したのか?」など、明日5月17日、CBCラジオ(TBS系列局/1053kHz)「多田しげおの気分爽快!!朝からPON」の中で、コメント致します。午前7時15分ぐらいを予定しています。http://hicbc.com/radio/kibun/index.htm
http://hicbc.com/announcer/tada/index.htm
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2012.05.15
「放漫・癒着」の体質は、改められているのだろうか。「再上場」へのお膳立てに沸く「JAL」
「JAL破綻」の原因が、少なくとも4000億円以上に及ぶ「放漫経営」「特定労働組合との癒着」「政治・官僚との癒着」にあると指摘し続けてきました。
「オリンパス」は、法的にも証拠固めがされて「歴代経営者の刑事責任」まで問われる事態となりましたが、JALでは、歴代経営者の誰ひとり「放漫経営」の責任をとらないばかりか、政権与党の票田である「連合」に所属する(献金する)JAL内の特定労働組合を優遇し、当該労組とうちうちで取引しながら、経営を続けてきています。経営者は、現社長の植木氏を除いてすべて当該労働組合幹部出身です。
憲法・労働三権さえ無視した解雇・不当労働行為の数々は、つとに有名で「ANA」では、反面教師として同じようなことを行わず、社内モチベーション高揚に成功しているといわれています。山崎豊子原作・角川映画「沈まぬ太陽」でも象徴的に描かれています。
そもそも、「不採算路線を切り」「1万6千人も解雇を含めてカットし」「銀行団から5200億円の借金棒引き」することででてきた史上最高の純利益「1866億円」なので、業界では当然の結果と受け止められていると思います。
これからの問題は、「安全快適」で世界の舞台で「FLYナンバーワン」を勝ち取ってきた時代のように「商品を大事にする経営姿勢」へと転換できるか、にかかっているように思えます。
◎気になること・・・。
※話はそれますが、最近のニュースでは「野田首相が日中韓交渉に政府専用機で出かける」光景を目にしました。JALではジャンボ機が燃料を食うのですべて退役させ、787機に買い替え中ですが、それが真実なら政府専用機もアメリカ並みに787・777・エアバス340あたりにすれば良いのに・・・なにしろ国税を使って予備のジャンボ機まで待機させ引き連れているのですからね。
※早稲田大学の戸崎肇教授は「人件費の増加に注意が必要」と指摘する。という報道ですが、同氏は、「安全に対する技術規制緩和委員会」の委員でもあり、整備などの現場部門の人件費を厚くすることにくぎを刺されているのかもしれない、と気になるところです。http://hideshima-issei.air-nifty.com/blog/2012/05/post-e5d9.html
http://hideshima-issei.air-nifty.com/blog/2012/04/lcc-6b27.html
JAL、過去最高益 リストラでV字回復 12年3月期
朝日新聞 2012.5.15
経営再建中の日本航空が14日発表した2012年3月期の決算は、営業利益が2049億円、純利益が1866億円でともに過去最高だった。売り上げは減ったが、経営破綻(はたん)にともなう大規模な経費削減が効いた。今秋に予定する再上場に向けて、リストラに頼らずもうけを出せるかが問われる。
12年3月期の売上高は1兆2048億円と前年同期より1割減った。東日本大震災の影響による旅行控えや、定員の少ない小型機を増やしたことが原因だ。それでも本業のもうけを示す営業利益は前年同期の1884億円を上回り、2年続けて過去最高を更新した。 減収なのに利益が増えたのは破綻を機に大規模な経費削減を実施したからだ。1万6千人を削減し、燃費が悪い飛行機は売却、赤字路線の廃止も踏み切った。 「放置していたムダを徹底的になくす努力を続けてきた」。稲盛和夫名誉会長は14日の会見でこう語った。経費削減には、稲盛氏が部門別の細かな採算管理を導入したことも奏功した。破綻する前は、路線ごとの収支が2カ月後まで分からない「どんぶり勘定」だったが、翌日に分かるように改め、利用客数に応じて小型機を飛ばす効率化をはかれるようになった。経費削減だけではない。日航は破綻した会社なので、法人税の負担が軽減されている。銀行団に借金約5200億円を棒引きしてもらったため、利子が減って経費節減につながった。
●収益力強化、不安視も
日航の業績のV字回復は、「民主党政権で数少ない成功事例」(航空関係者)とも言われる。ただ、「リストラ頼み」から抜け出し、好業績を続けることができるかは未知数だ。 14日発表した13年3月期の業績見通しでは、売上高が1兆2200億円とわずかに増えるが、営業利益は1500億円と大幅に減る。はやくもリストラ効果が薄れる見込みだ。 日航は今年2月に発表した中期経営計画で、国際線の拡大など、リストラ一辺倒から成長路線への転換を打ち出した。燃費効率が高いボーイング社製の最新鋭中型機「787」を国際線の主力機として計45機発注したが、購入経費もかさむ。
人件費も増える傾向にある。今夏の賞与は給与2カ月分で、11年の1カ月分よりも増えた。「ふつうの会社に戻るため」(日航幹部)というが、全日空の1・5カ月分よりすでに多く、早稲田大学の戸崎肇教授は「人件費の増加に注意が必要」と指摘する。大手との競争に加え、格安航空会社(LCC)がシェアを伸ばすなど経営環境は厳しさを増す見通しのため、経費が増えると競争力が落ちるおそれがある。 日航株の96・5%を持つ企業再生支援機構は、今年9~10月にも再上場させたい考えだ。株を長く持ってくれる引受先を探しているが、日航と同じ航空連合「ワンワールド」に加盟する英ブリティッシュ・エアウェイズの親会社が興味を示しているぐらいで、「本命」とされていた国内大手銀行や生保会社などはそっぽを向いている。日航の収益力が高まることを確信できないでいるためだ。
(南日慶子、伊澤友之)
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沖縄のさらされて来た現実に「確かな記者の目」・・・。
琉球の時代から「清国」と「薩摩藩」から圧され続けてきて(NHKドラマ「テンペスト」などを鑑賞されるとよい)、そして幕末には西洋諸国から。太平洋戦争では、「本土の楯」として米軍から凄まじい集中攻撃を受け多大な死傷を被ったことは、本土の誰もが知っていることであろう。
そして、その後は、連合国の中の力関係で、アメリカの単独講和となり、不幸にも日本の領土ではなくアメリカの統治下におかれた。私も復帰前から沖縄線や沖縄経由香港行きなど数々の乗務を体験してきた。経由便ではトランジットの乗客からも全員パスポートを集め、イミグレーションに提出したものだった。
通貨は、ドル、街中は、まさに「アメリカ」という風景に複雑な思いも抱えた。
40年前に「本土復帰」を果たしたものの、米軍基地・米軍専用施設は、本土から沖縄に集約され、日本駐留米軍基地の「74%」は、ここにある。
騒音はもとより、基地が邪魔をして公共の交通機関に電車がなく、利用できるのは割高なバスか乗用車。その上、さらに、日本国内でありながら日本の法律が適用されぬ屈辱的な「日米地位協定」が立ちはだかっている。
心が痛む中で、「4か月居住して取材した」記者の目は、多くを語らずとも鋭い指摘を感じるものでした。
深夜も騒音、これが沖縄の日常 普天間隣接地区で記者4カ月生活
朝日新聞 2012.5.14 夕刊
沖縄の米軍基地の騒音問題を取材すると、いつもふたつの声に戸惑う。「うるさくてたまらない」「音は慣れるよ」。ならばいっそ、住んでみよう。沖縄県宜野湾(ぎのわん)市。36歳の男性記者が福岡市から長期出張し、15日の復帰40年に向けた取材をしながら、米軍普天間飛行場=キーワード=に接する上大謝名(うえおおじゃな)地区で4カ月間暮らした。
アパートに初めて向かったのは1月中旬。車を降りた途端、甲高い風切り音が迫ってきた。空中給油機が頭上を覆う。「でかい」
米軍基地のある山口県岩国市に2年半住んだ。だが、こんなに近くで飛ぶのを見たのは初めてだった。 上大謝名地区は滑走路の延長線上にある。うるささ指数の月平均は87(4月)と環境基準の70を大きく超える。騒音発生回数は1日平均43・3回(同)。そこに約700世帯が暮らす。
部屋は3階建てアパートの2階。翌朝から、ヘリの音が目覚ましになった。夜、大型トレーラーが向かってくるような音に身を硬くした。途中から混じる金属音で飛行機とわかる。日米が制限する夜10時を過ぎても、飛ぶことは珍しくなかった。初めは音のたびにカメラを抱えて外に飛び出した。でも、きりがない。1カ月ほどたち、あまり気にならなくなってきた。
それがもう一度覆ったのは、3月上旬の朝だった。「今日は休み」と布団に入り直した時、威圧感のある連続音がきた。2004年に沖縄国際大学に墜落した大型輸送ヘリCH53。音で機種が分かる。ボバボバボバボバ。来た。音が重い。ああもう、本当にうるさい。 こんなに怖い音だったか。仕事として音を「待ち構えていた」時には感じなかった不快さ。これが、宜野湾に暮らす人たちが言う爆音なのだと実感した。
米軍には日本の法律が及ばない。文句の言いようがないという閉塞(へいそく)感。 だからなのか、喫茶店のマスターも、理髪店主も、焼き鳥屋のおじさんも「音を気にしていたら生きていけない」と口をそろえる。
一方で飛行場内に土地を持つ軍用地主でさえ「『金をやるから文句を言うな』という音でもある。時々、撃ち落としたくなる」と言う。
4カ月間暮らし、どちらの気持ちも少しわかる。うるさい。でも慣れる。だけどうるさい。でもどうしようもない。同じ言葉が頭の中を巡る。問われ方次第で「耐えがたい」とも「慣れる」とも言える。矛盾を突きつけられ何十年も暮らす苦しさ。まして家族が一緒にいたら……。
夜も窓を開けて寝るようになった4月中旬、上大謝名地区では今年最高の119・9デシベルを記録した。120デシベルは「ジェットエンジンの近く」に例えられる。でも上大謝名地区では、それは例えではなく現実そのものだった。(上遠野郷)◆キーワード
<米軍普天間飛行場>
ヘリコプターなど約50機が常駐する海兵隊の基地。宜野湾市の面積の4分の1を占める。1996年に返還が決まったが、移設先が決まらずめどが立っていない。計396人が国を相手取って起こした普天間爆音訴訟では、全員への賠償を国に命じる一方、夜間・早朝の飛行差し止め請求は退けた2010年7月の二審判決が確定。今年3月、3129人が2次提訴した。
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2012.05.14
「海上空港」は、防げない!ということでしょうか・・??
これまで「空港」に対する配慮は、もっぱら「騒音」問題が中心で、仙台空港の被災状況を見ても「地震・津波など防災対策は不十分」であったことが大震災後に明らかになりました。
それにしても、報道を見る限り、東南海大地震に対しては、「防ぐ、被害を最小限にとどめる」策よりも、「被災後の復旧」が先行していることに違和感を覚えます。
そして、海上空港の典型である、「関空」「中部」にこそ「対策が急務」のはずなのですが・・。
津波後3日で復旧を=6空港で計画策定へ―国交省
時事通信 5月13日(日)2時30分配信
国土交通省は12日、大規模地震に伴う津波で被害を受ける可能性が高い国内6空港について「早期復旧計画」を策定する方針を固めた。空港が津波で被害を受けた場合、3日以内をめどに機能を回復できるような対応策を計画に盛り込む。
今年度内にも計画を策定し、空港が支援物資を運ぶ輸送機やドクターヘリなどを早期に受け入れるための環境を整え、被災地で救急救命活動や支援物資を受け入れる拠点としての役割を果たせるようにする。
早期復旧計画の策定対象となるのは、沿岸付近や海上にあり大津波が発生すると浸水する恐れがある仙台、羽田、中部国際、関西国際、高知、宮崎の6空港。中部、関西両空港については、空港会社と協議しながら計画を策定する。
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2012.05.03
「嘉手納に緊急着陸、羽田発ANA機」 日本の空の管制は、どうなっているんでしょうか?
着陸しようとした「那覇空港がクローズしている・・・」パイロットも乗客もさぞ驚いたことと推察できます。もともと、ANA機の遅延は、トラブルを解決しての安全上の措置だったと聞いています。
ANA機が羽田を離陸した後に、空港間のあるいは管制業務の引き継ぎはどうなっていたのでしょうか? 着陸しようとする航空機があるのに予定通り工事のために空港クローズ?
2000年のシンガポール航空006便が台北中正国際空港(現・台湾桃園国際空港)からの離陸に失敗し炎上大破した事故も頭をよぎりました。
2000年放映の「パックインジャーナル」朝日ニュースター より
2000年放映の「パックインジャーナル」朝日ニュースター より
この事故は、パイロットの思い込みなどもあったようですが、工事中の滑走路を使って離陸しようとして工事中の車両に激突し、墜落したものです。のちに、空港内の管制塔から当該航空機を目視できない状況にあったことなども明らかになりました。
いずれにしても、「安全な離着陸」は、パイロット・管制・空港管制・空港などが三位一体とならなければ、保障されません。
「なぜ、こういうことが起きたのか」当局は、早急に調査の上明らかにすることが必要です。
※那覇空港関連 :弊ブログ「ようやくひとつ戻った日本の空、那覇空港管制(嘉手納ラプコン)です。」2010.03.19
※管制関連:管制業務は、「空の安全の要」!こういうことがあってよいものか2010.10.13
米軍嘉手納基地に着陸 那覇行きのANA機
テレビ朝日系(ANN) 5月3日(木)13時58分配信
2日夜、羽田発那覇行きの全日空機が、那覇空港の滑走路が閉鎖されていたため着陸できず、急きょ、アメリカ軍の嘉手納基地に着陸しました。
嘉手納基地に着陸したのは、全日空の羽田発139便で、離陸前に機内に不具合が見つかり、離陸が50分遅れたということです。那覇空港事務所は、2日午後11時から3日午前1時半までは滑走路の維持工事があると事前に申し入れていたと話しています。
乗客:「(着陸の)1時間前に遅れるって通知したのに到着許可が出なかったのは、空港側が説明してくれないのは納得できないと(機長が)説明していた」「(あす)8時からゴルフでちょっと大変ですね」
139便は、3日午前1時40分ごろに那覇空港に到着しました。.
最終更新:5月3日(木)18時59分
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更に見やすいブログへと「整備中」ですが、手違いのため、しばらく ブログが表示できない期間があったようです。お詫びいたします。WATCHしていただいている皆様には、ご心配をおかけしました。
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「あり得ない」ことが起きている!『利用者のため』と言いながら『尻抜けの安全基準』を放置してはいけない!」
これだけの事故が起きた背景は、深刻です。一部のバス会社の問題ではありません。監視や厳しい罰則を伴う「法律」なくしては、「安全運行」は守れないと思います。
採算すれすれで競い合う「格安ツアーバス」を頼みとする利用者が増えているのは、基本的に不況・デフレも脱出できない経済の舵取りであり、国の政策に起因しているのではないか、と考えざるを得ません。
事故報道がひと段落したら、「安全追及」の手も緩んでくるようなことは、繰り返さないで欲しいと強く願うところです。
2800円バス、若者の足に 金沢―東京便に記者同乗
朝日デジタル 2012.5.2
衝突事故で7人が犠牲となり、安全性や運行態勢が注目されている高速ツアーバス。4月30日から1日朝にかけて、事故が起きたのと同じ、金沢と首都圏を結ぶツアーバスの一つに記者(29)が乗った。29日にインターネットで予約した際、最も安かった片道2800円のバス。その道中は――。
■就活、旅行…安さ人気
4月30日午後9時前、金沢駅西口にある仮設の乗り場に行くと、記者と同じバスを待つ人たちがいた。大半が20代前後で、キャリーバッグを抱えた行楽客も目立つ。 紺のスーツ姿の男性(26)は地元大学の大学院生だった。就職活動中で「最近は月6、7回のペースで往復しています」。研究と都内での就職活動を両立し、宿泊代を浮かすため、夜間のバスを利用する。
金沢市の友人に会いに来たという都内の会社員の女性(26)は往復とも夜行バスの利用だ。大阪に住む遠距離恋愛中の恋人に会いに行く時も夜行バスを使う。「列車のように乗り換えがなく、寝ていれば着くのが便利」という。事故が起き、親からは「乗るのをやめた方がいい」と注意されたが、安さを優先した。 乗り場に、「東京・TDL(東京ディズニーランド)行き」と表示を掲げた大型バスが入ってきた。乗り込むと、ごく普通の4列シートの観光バスで、トイレはない。座席には脚を十分伸ばせるスペースがあり、背もたれも倒せる。事故後のキャンセルで、45席のうち乗客は30人程度。自分の隣は空席なので、ゆったりできる。
先月29日に事故を起こしたツアーバスは片道3500円だった。記者が乗ったのは、大阪市の旅行会社が企画し、石川県内のバス会社が運行するツアーのバス。インターネットで検索し、3千円台、4千円台など複数ある中から、最も安い2800円のツアーを予約した。定期路線では7千円台の場合もあり、格安だ。
■「1人で運転するなんてありえない」
午後9時25分、バスは旅を始めた。すぐに寝る乗客もいて、車内は静かだ。運転手は2人だった。およそ10時間かかるルートを、2時間おきに交代しながら運行するという。 出発して3時間。日付をまたいだ午前0時すぎ、北陸道の越中境パーキングエリア(PA)で最初の休憩を取った。
「運転中に眠くなることがまったくないと言ったらうそになる」。一人の運転手に声をかけると、正直に話してくれた。夜勤の日は昼間に睡眠をとって臨むが、それでも眠いときは、もう一人と早めに交代することもあるという。事故を起こしたバスについて「1人で運転するなんて、ありえない」とも話した。
事故のあったバスは、北陸道から関越道を通った。記者が乗ったバスは走行距離が30キロほど短い上信越道を選択。連休中とはいえ渋滞はなく、バスは順調に進んだ。事故発生の午前4時40分ごろには埼玉県内を走っていた。外は明るくなっていたが、乗客はまだ寝息を立てている。料金プランによっては毛布が貸し出されるが、記者にはなく、少し肌寒かった。
午前4時55分、関越道の三芳PAで、最後となる3回目の休憩をとった。金沢方面から東京を目指す、別の会社のバスを含め計7台が次々と駐車場に入ってきた。いずれも、運転手は2人乗っている様子だ。
■採算ラインは「3500円」
都内に入り、新宿駅や東京駅を経由した。乗客の多くが降車し、TDLに向かったのは記者ともう1人の客だけ。午前7時すぎ、終点に到着した。徹夜明けの耳に、園内のにぎやかな音楽が響く。 運転手は長時間の運転の緊張がとけた様子だ。2人はこの後、近くのホテルに移って休養するという。1日夜は、また金沢に向けて朝までバスを走らせる。「安全運行のため、ゆっくり休ませてもらいます」
バスを降りてから、この旅行会社に料金について問い合わせた。日によって値段を上下させているが、「月間を通じて運賃収入の1割の利益が出ればいい方」。繁忙期は6千円まで上げることもあるといい、「3500円くらいが採算ライン」と教えてくれた。(伊木緑)
◇
《交通ジャーナリスト・鈴木文彦さんの話》 高速ツアーバスは、インターネット予約が一般的で値段も安く、特に若者の利用が多い。高齢者から単身赴任者まで客層が幅広い路線バス会社の高速バスに比べ、レジャー的な要素が強いのも特徴だ。予約の手軽さと安さで、高速バス利用者の裾野を広げてきた。今回の事故を受けて高速バスを敬遠する人が一時的には増えるかもしれないが、安さ、便利さから依然支持する人も多く、今後も需要は続くだろう。ただ、安さが売りなだけに、バス会社が人件費を抑えるため無理をする場合も出てくる。安全を確保できる範囲で運行している会社がほとんどだが、そういった会社まで事故の影響で信用を失うことにならないか心配だ。
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2012.05.01
「LCC礼賛の安全規制緩和」も見直ししていただきたい!!
バス運転中に睡魔9割 総務省の貸し切り運転手調査 距離上限、勧告後も改善せず
朝日新聞 2012.5.1
総務省が2009年に貸し切りバス運転手を対象にしたアンケートで、約9割が睡魔に襲われたり事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット」の体験をしたりした、と答えていたことがわかった。総務省は10年、運転手1人の1日の最大運転距離の基準を「670キロ」とする国土交通省に距離の短縮を含めた措置をとるよう求める趣旨の勧告をしたが、改善されていなかった。
29日に群馬県藤岡市の関越自動車道で起きた高速ツアーバス事故では、金沢市から千葉県浦安市までの約545キロを1人で運転する予定だった運転手が病院への搬送前に「居眠りをしていた」と説明しており、国交省は基準の見直しを検討するとしている。
07年2月に大阪府吹田市でスキー客ら27人が死傷したバス事故後、国交省は670キロの基準をつくる一方、総務省は運転手500人を対象に勤務実態などを調査。回答した136人のうち122人(89・7%)が運転中に睡魔に襲われたり、居眠りをしたりしたと答えた。ヒヤリ・ハット体験も9割を超える130人(95・6%)が認めたという。
調査では安全運行できる乗務距離についても質問。高速道と一般道の両方を走る場合、昼間が平均「531キロ」、夜間が平均「439キロ」で、国の目安を大きく下回っていた。
貸し切りバス事業者に対する調査では、670キロ以下でも交代要員としての運転手を乗せる会社があることも判明。そうした実態があるのに、上限を670キロとする国交省の基準に対し、総務省は10年9月に「運転手の健康面を考えておらず、運転手や有識者らの意見もくんでいない」と指摘、行政評価に関する権限を定めた総務省設置法に基づいて改善を勧告した。
だが、国交省は10年9月まで実施したバス業界などとの私的懇談会で「変更の必要がない」との方向性を出したことなどを踏まえ、改善していなかった。国交省安全政策課は取材に「上限距離の変更より、それが守られているのかの事後チェックを重視してきた。今後は基準の見直しを検討したい」としている。(川見能人、黒川和久)
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事故が起きてから取り上げるメディア!「格安」と引き換えに進行していた危険な「規制緩和」悲惨なバス事故のことです。
「コストカット」で追い詰められれば、「格安」に打ち勝つために「安全運航経費」ここで言えば、「500キロを超えるルートでもバス運転手一人乗務」という点にしわ寄せがでています。更にこれが「業界の常識」となっていても、「規制緩和」を強化する早期な決断がないばかりに・・・大事故を招いています。
「起きると思っていた事故」 TDRでバス運転手に聞く
朝日新聞デジタル 2012.4月30日
「いつか起きると思っていた」「起こるべくして起きた事故」。多くのツアーバスが駐車場で帰りの
客を待つ東京ディズニーリゾート(TDR)で、運転手たちは業務の過酷さを口にした。
関越自動車道で死亡事故をおこしたバスと同じ石川県を前夜に出発、29日早朝に着いた男性(45
)は、もう1人の運転手と2時間おきに交代しながら運転してきた。「それでも、事故が起きた時間帯はいつも眠くなる。どれだけ寝ても体のバランスが取れない」 やはり北陸地方から来た男性(47)は「1人では負担が大きすぎる。2人で交代しないと無理」と話す。しかし「大型連休やお盆は運転手が足りない。ふだんは2人で走っていても、この時期だけは1人で走る会社も出てくるのでは」。 甲府市から早朝、約40人を運んだ40代の男性は、駐車場に並ぶ関西や北陸地方のナンバーのバスに、運転手が1人でいるのを見かけることがある。「道中の仮眠をどうしているのだろうと思っていた」 「いつか起きると思っていた」「起こるべくして起きた事故」。多くのツアーバスが駐車場で帰りの客を待つ東京ディズニーリゾート(TDR)で、運転手たちは業務の過酷さを口にした。
関越自動車道で死亡事故をおこしたバスと同じ石川県を前夜に出発、29日早朝に着いた男性(45)は、もう1人の運転手と2時間おきに交代しながら運転してきた。「それでも、事故が起きた時間帯はいつも眠くなる。どれだけ寝ても体のバランスが取れない」
下請け運行「経営ギリギリ」 関越道の7人死亡事故
朝日デジタル.2012.4月30日
安さと手軽さで急成長してきた高速ツアーバス業界。群馬県内の関越自動車道上り線で高速バスが防音壁に衝突し、多数の死傷者が出た事故を起こした運転手は「居眠りしていた」と話しているという。競争の激化で安全面へのしわ寄せの懸念が高まり、国が新たな対策を始めようとしている矢先の惨事だった。
朝日新聞デジタルに特集「格安バス、競争激化」
「格安! 快適! 高速バス!」。今回のツアーを企画した「ハーヴェストホールディングス」(本社・大阪府豊中市、大屋政士社長)のホームページには、そんな言葉が躍る。首都圏や関西と東北・北陸・九州などを結ぶツアーが100以上並んでいる。金沢と東京ディズニーリゾートを結ぶツアーは、曜日によって値段が変わるものの、片道3千円からと格安だ。事故にあったバスが出発した28日夜発の便は3500円で、鉄路でJRを利用すると1万円を超す区間。この区間でJRバスが運行している路線バスも最低で5千円する。
2010年3月にJRの寝台特急「北陸」と急行「能登」が廃止されて以降、北陸地方では特に価格競争が激しくなっている。あるバス業者は「十数年前にはバス1台あたり30万円ほどで委託を受けていたが、最近では約20万円まで下がった」と嘆く。事務経費を削り、「ギリギリの経営」をしているという。
1995年に旅行業登録したハーヴェスト社が、高速ツアーバスに参入したのは約7年前。バスの運行は自社バスのほか、各地の約100社のバス会社と契約して、下請けさせている。
同社の説明では、ゴールデンウイーク期間中はかき入れ時で、金沢発の路線もバスを増発する。このため、普段は委託していない「陸援隊」(千葉県印西市、針生裕美秀社長)にも運行を委託していた。陸援隊への委託は1年ほど前からあり、今年は初めてだったという。
路線バスのように、固定したバス停や切符売り場のないツアーバスは、乗客の集め方もインターネットを活用するなど新しい。 事故に遭った45人のツアー参加者のうち、ハーヴェスト社が住所など連絡先をつかんでいたのは15人。残りの30人については「楽天トラベル」の予約サイトなどを経由しており、申し込みの代表者の氏名と携帯電話番号などしか把握できない仕組みだった。
◇
〈高速ツアーバス〉 高速道路を長距離移動するバスには、道路運送法に基づく路線バスと、旅行業者などが旅行業法に基づいて企画し、貸し切りバスを使って運行するツアーバスの2種類がある。路線バスは決まったルートを走って停留所に止まる運行形態だが、ツアーバスの中にも、連日ルートを固定して事実上の路線バスのように運行されている例がある。
相次ぐ参入、安全面に影
朝日デジタル.2012.4.30
貸し切りバス事業の推移
格安の高速ツアーバスの競争はなぜ激化したのか。 バブル崩壊後の経済振興策として、国土交通省はこの10年あまり、規制緩和を続けてきた。貸し切りバス事業の分野では2000年、地域でバスを増やす必要が生じたときにだけ新規参入を認めるやり方を改め、条件さえ整えば参入できるように道路運送法を改正した。02年には、リフト券付きのスキーバスなどの例外を除いて認めてこなかったツアーバス事業を旅行会社に解禁した。 貸し切りバス会社の数は爆発的に増えた。緩和前の99年度には全国で2336社だったが、09年度には2倍弱の4372社に。「高速ツアーバス連絡協議会」の調べでは、高速ツアーバスの乗客は05年の約23万人が10年には約600万人に激増した。
サービスの多様さがさらに人気を呼んだ。従来の高速路線バスにはなかった豪華なバスや、逆に安価にこだわる会社などが登場。女性専用に特化した路線など、乗客がニーズによってバスを選びやすくなった。
その一方で、競争の激化が安全面に影を落とし始めた。同省の調べでは、08年度の貸し切りバス会社に対する安全監査で、運転手の運転時間が長すぎたり、健康管理が不十分だったりする何らかの違反行為があった会社は、バスの貸し切りだけをしている会社より、ツアーバスを手がける会社の方が2割ほど多かった。
今回、事故が起きたツアーでは運転手は1人だった。同じ金沢と首都圏を結ぶ高速路線バスを運行するJRバス関東では、途中の長野県で運転手を交代させ、そのほか3回の休憩時間を設けている。安全に直結する運行のあり方にも会社ごとに差が生じている。
ツアーバスの下請けをしている関東地方のあるバス会社によると、過当競争で下請けの運行代金は下がり続けているという。「燃料費や人件費、車両の消耗費を引くと、利益はほとんどない。でも車を動かさないと会社がつぶれるから、結局は旅行会社の言いなりになるしかない」
旅行会社が客を募集するものの、道路運送法上の安全責任を負うのはバス会社。そのため、安価なツアーを立てた旅行会社が安全コストを度外視した発注をする例もあるという。
対策のため、国交省は10年12月から有識者による「バス事業のあり方検討会」を立ち上げて議論をスタート。今年3月30日、旅行会社にバス事業の許可を取らせて安全面の責任も負わせ、違法行為があった場合の罰則強化を盛り込んだ最終報告をまとめた。
いずれも今年度から来年度にかけて導入する予定だったが、今回の事故を受け、さらなる見直しもあるという。「対策を立てた矢先だったのに」。国交省の担当者は話した。
◇
〈加藤博和・名古屋大准教授(交通・環境計画)=国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員=の話〉 客数によって運行台数を自由に増便できる高速ツアーバスは、利用者のニーズと重なり、数を伸ばしてきた。だが、ツアーバスの運行は貸し切りバス会社に委託されており、企画した旅行会社は事故が起きても法的に責任をとる必要がない。バス会社は零細が多く、旅行会社に無理を言われてものまざるをえず、運転手らの労働量は過重になりやすい。催行会社が責任を問われる立場になれば、安全に配慮するようになる。検討会の報告書では、運行を路線バス会社に一本化し、一方で禁止されていた貸し切りバス会社への委託を認めるよう提案している。貸し切りバス会社は過当競争に陥っている。認可を受けるには車両数は5台以上と決められているのに、従業員数には厳格な規定がなく、運転手は風邪を引いても働かざるをえないという声も聞く。小規模事業者の参入規制や、国交省の監査強化なども必要だ。
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