2012.04.18
「LCC対策」と言っても「安全のコスト削減」がどこまで詰められてきているか!丹念にウォッチせねばなりません!
国交省では、129項目にわたる安全上の規制緩和が検討されています。3回にわたる委員会に於ける検討内容を拝見すると、もともと航空関連でない委員からの意見などは「これまでの特権的許認可行政」や「技術革新のレベルから置き去りになっていたり、整合性に欠けてきている航空法の一部」などにも鋭い指摘がされている面もあります。一方で、エアライン事業者の要望(コストカット上の)に、応えることが本流のようにもなっており、「格安運賃礼賛」の下敷きとして用意されてきた内容でもあります。「利用者の安全」を負託し、監視するべき航空局としては、「利益本位」の流れに対して、監督官庁として「これで良いのか?」という疑問も残ります。閉ざされた委員会だけではなく、「公開で運航現場の意見なども聴取することも試みて欲しい」、という意見も多く聞いています。折しも、ロンドン・ガトウイック空港では、英国のヴァージンアトランティック機A-330が人身事故を起こしました。脱出時に多くの怪我人を出したようです。思いもよらないところで、乗客の生命を左右するのが航空機なのです。「安全への規制緩和」は慎重であれ!と願うものです。
例えば、○給油時の整備士の立ち会いを不要○副操縦士への昇格試験を実機ではなくシミュレーターで行えるようにする。などは、LCCだけではなく、これまでの国際線を有するエアラインにも適用されてゆきます。心配です・・・。
国交省:航空規制、大幅緩和へ…LCC3月就航
毎日新聞 2012年2月11日 8時10分
国土交通省は、航空分野で設けている運航・安全面などの規制の大幅な緩和、見直しに乗り出した。「世界基準に比べ総じて厳しい」(航空局)とされる従来の国内ルールでは、3月以降に順次国内線で運航を始める全日本空輸、日本航空系の格安航空会社(LCC)3社の事業運営に支障が出る可能性が高いと判断した。 国交省が昨秋、国内航空会社に、運航や安全面の規制についてヒアリングしたところ、129項目の見直し要望があった。同省は緊急性の高さなどからふるい分けし、すでに47項目で世界で標準的な基準に適合するよう省令・通達改正など対応策を決定。さらに3月末までに41項目に対応する方向で調整中だ。具体的には、航空会社が航空法に基づき航空機を登録する際、機体番号を直接機体に刻印する「打刻」を、金属パネルの取り付けなど機体を傷つけない方法に変更することを容認。航空会社は機体を所有せずリースで使う例が最近では多く、「機体に傷が付く打刻では返却時に賠償を請求される」(新興航空会社)ケースがあるためだ。 パイロットの資格審査で実際の飛行機で実施してきた実技試験は、機能が進化したシミュレーター(模擬操縦装置)の使用を認め、航空会社の経費削減や、機体を試験で使用せず、通常の運航に活用できるようにする。 また、LCCは主に短距離のピストン輸送を行うため、着陸から次の離陸までの時間を極力短縮させたいニーズが強い。給油方法も世界の基準に合わせ、乗客が機内にいても実施できるように規制を緩和し、整備士の立ち会いも不要にする。 これらの改正はLCCだけでなく既存の国内航空各社にも適用される。 日系LCC3社が参入する今年は、先発の海外勢や既存航空会社と顧客獲得を競う「LCC元年」と言われる。13年からは航空会社が路線や便数を自由に決められる航空自由化(オープンスカイ)が首都圏(羽田、成田)空港も含めて本格実施され、海外勢との競争も待ち受けている。国交省が規制緩和に動くのは、LCC支援だけでなく、「国内航空会社にとって、国内ルールが海外勢との競争の足かせになりかねない」(同局)ことも考慮した。【三島健二】

コメント
トラックバック
この記事に対するトラックバックのURL:
この記事へのトラックバック一覧です:
Copyright (C) 2001 - 2004 Hideshima Issei All rights reseved. p>