2011.06.16
「旅客の安全」に薄い日本の「パイロット養成政策」!メディアの批判も安全の角度からも欲しいものです・・・。
マッハという超高速で航行するジェット旅客機の「安全」は、これを運航する者の手によって、守られます。
民間航空の「安全運航」とは、主に、
旅客と生死を共にする「パイロット・客室乗務員」、年間を通じて精密かつ誠実な「整備」、常に流動するウェザーと格闘してフライトプランを練る「ディスパッチ」、増えるばかりの航空路線と過密化した航空路のなかで、明らかに過少な人員配置の中で格闘する「管制官」の皆さんのTeamWorkによって成り立っています。
高額運賃だったことで容易に利益を上げることができた航空(世界的な)も、「アメリカの大々的な規制緩和・1978年」以来、格安運賃・マイレージ競争などで収支を悪化させる一途となりました。
マイレージや各種割引で、「いかにも運賃が安くなった」印象を与えていますが、「基本運賃」は少しも下がっていません。「使いたいときに使えないマイレージ」「エアラインにとって見えない負債として巨大化してゆくマイレージ」なのに、誰かが止めない限りとまらないというアリ地獄に陥っているさまも深まってきています。
「利用者には、精密な安全でお返しする」という「リーゾナブルな運賃」は、国家の主導(政策)なしでは、進みません。
しかし、歴代政府は、「格安を助長し、安全のカットには知らん振り」という航空政策を取り続けています。これで、よいのでしょうか・・・そろそろ立ち止まって考える時期に来ているように感じます。
航空大学校をメインにしたパイロット養成計画なのか、各航空会社による自社要請なのか、外国人を全面的に頼るのか、など、いろいろ議論があると思いますが、
「短期間にはできない質の高いパイロットの養成はどうするのか」という問題に、国家として、明解な政策を示すべきではないでしょうか。
日航は負担金拒否 航空大、薄まる存在感 国交省天下り先解散
2011.6.15 朝日
国土交通省OBが役員を務める公益法人の解散が決まった。国交省は法人の代わりに航空会社が航空大学校を支える新たな枠組みを示して負担も求める。だが、航空業界の反発は強い。今月上旬、東京・八丁堀にある航空機操縦士養成振興協会(航操振)の事務所で内装工事が進んでいた。職員らは5月下旬に引き払い、出向元などで残務をする。航空大の担当者は「日本航空の経営破綻(はたん)で会費収入が減ることを見越し、業務を引き継いできた」と話す。
昨年12月27日、東京・霞が関の国交省。航空大生の採用実績がある航空会社の担当者が集まった。
ここで航空大の運営方針をまとめた資料が配られた。この日は航操振の理事会で解散が議題となってから3日後。乗員数や過去10年の航空大卒業生の採用数に応じて各社の負担額を決めるという。
国交省航空局は「公平性を重視した合理的な金額」と説明するが、ある大手の関係者は「過去10年の採用実績が基準ということは、大手2社のグループに負担のほとんどを折半させようという意図だろう」と話す。
日航はすでに支払い拒否を通告。全日空も「他社も支払うなら払う」と条件を付けた。新興の航空各社は大手の出方待ちだ。国交省航空局は「当面は各社にお願いを続ける」というが、打開の見通しはない。
●パイロット供給源「まだ重要」
日本の主要航空会社のパイロットの約4割強は航空大出身。4割弱が航空会社の自社養成で、残りを外国人らが占める。
政府の事業仕分けで、航空大への国費は今年度、前年度から3億5千万円減の約23億円に絞り込まれた。
航空大は「航空会社に負担してもらわないと運営は厳しい」という。だが、航空界を取り巻く状況の変化で、航空大の存在そのものにも厳しい目が注がれる。
「団塊世代の大量退職でパイロット不足が予想される」。昨年の仕分けで国交省はこう説明した。だが同じ頃、日航では希望退職を迫られた多くのパイロットが新興航空会社などに職を求め、不足とはほど遠い状況になった。航空大にも「もう国が養成する時代ではない」(航空会社関係者)との声が上がる。
ただ、航空会社が自社養成できる人数は限られ、航空大の昨年度の卒業生65人のうち41人が全日空グループに就職。
全日空広報室は「国際線の拡大もあり、供給源として重要」とする。
一方、日航広報部は「中堅のパイロットは豊富で、当面は人手不足になることはない」。国交省航空局幹部は「航空会社の採用は景気に左右される。毎年、一定の人員を確保するために、航空大の定員は保っていきたい」と話す。(永田工)

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