2011.06.12
「コストカット」に揺さぶられる「安全」!空も陸も・・・。
北海道エアシステム(HAC)のニュース
6月11日の報道で、HAC(北海道エアシステム)が6月4日に「大事故すれすれのインシデント」を起こしながら、報告もしていなかったことが明らかになりました。
そもそも、一般の者から見れば、「事故に等しい」と言う問題でも、航空局のカテゴリー分けでは、インシデントと言う呼ばれ方がされます。
1.イレギュラー
2.重大インシデント/事故
というように区分けされています。簡単に言えば、人身事故でなければ、事故とは言わないというカテゴリーです。
(ちょっと前までは、インシデントと事故は、区分が分かれていましたが、数年前にこのようになりました・・・。)
こうした「インシデント」の個々の原因追及は、運輸安全委員会の調査を待つにしても、
問題なのは、HAC(北海道エアシステム)というエアラインは、地方の足としての機能を果たしていながら、経営上は、「JASグループ」→「JALグループ」→「JAL破綻による赤字路線撤退」→「独立」と言うように、経営上、大エアラインのように儲かる幹線を保有しているわけでもなく、不安定な立場にさらされている背景があります。
また、エアラインの現場代表に、こういう「事故寸前の事態」も航空局に報告しないでよい、という体質があるということです。
「原発事故」で明らかになった「安全神話の刷り込み」や「目に見えない安全運航コストへのしわよせ」と同じ姿勢が垣間見えることではないでしょうか。
「安全」とは、見えないところでどれだけ尽くしているか、の一語に尽きると思います。
機長「高度設定忘れた」…HAC機地上接近
2011.6.11 読売
乗客乗員13人を乗せた北海道エアシステム機(サーブ340B型機)が、北海道の奥尻空港で着陸を取りやめる「着陸復行」中に地上約30メートルにまで接近したトラブルについて、同社は11日、機長が着陸復行時の目標高度を設定し忘れ、計器が現在高度を維持するよう指示したことが、機体を上昇させる操作の遅れなどにつながった可能性が高いとの見解を明らかにした。
同社によると、機長は今月4日、同空港の南東約1500メートル、高度約180メートルの地点で、天候不良で視界が悪いことから着陸の取りやめを決定。エンジン出力を上げて操縦かんを引き、着陸のため下ろしていた主翼の高揚力装置(フラップ)を戻すなど、上昇のための操作を始めた。
本来、これらの操作前に、機体の姿勢や高度を指示する計器「フライト・ディレクター(FD)」に、着陸復行時の目標高度(約1200メートル)を入力する必要がある。しかし機長は同社の調査に「高度を設定し忘れた」と説明。FDは現在の高度を維持するよう指示していたという。
同機が下降を始めた直後、副操縦士が「上昇していません」と機長に忠告したが、同機は対地接近警報装置(GPWS)が作動するまで約150メートル下降を続けていたことも判明した。同社が飛行記録装置(DFDR)を解析した結果、着陸復行の上昇と同時に行うべき左旋回も遅れていたといい、機長がFDの指示に気を取られ、混乱に陥った可能性もあるという。
同社によると、サーブ340B型機は、フラップを戻すと機首が下がる特性があるといい、同社は「機長が操縦かんを引く力を弱めてしまったため、下降した可能性が高い」としている。
(2011年6月11日 読売新聞)
北海道エア:プロペラ機が地表30mに…警報気付き急上昇
2011年6月10日 21時28分 毎日
地表に急接近した機体と同型機=札幌市東区の丘珠空港で、小出洋平撮影 国土交通省は10日、北海道・奥尻島付近で函館発奥尻行き北海道エアシステム(HAC)のプロペラ機2891便(サーブ式340B型、乗員乗客13人)が地表30メートルまで接近し急上昇するトラブルが4日にあったと発表した。
同省運輸安全委員会は大事故につながりかねない重大インシデントと判断、調査官3人を11日に現地へ派遣する。また、同社はこの事実を国交省に直ちに知らせていなかった経緯も調べる。
国交省航空局などによると、HAC機は4日午前11時12分ごろ函館空港を出発。奥尻空港に近付いたため、着陸態勢を取ろうと高度約200メートル付近で水平飛行に入った。天候不順のため奥尻空港の約1.5キロ手前で着陸をあきらめ、いったん同210メートルほどまで上昇したが、その後に下降。同11時26分に対地接近警報装置(GPWS)が作動し、パイロットが気付いて急上昇した。
HAC機が下降した理由は不明。最も近づいた地表は奥尻空港の敷地内だったという。警報後、機体は通常使用を大きく超える出力で上昇したためエンジンに負荷がかかり、9日の離陸準備中にエンジン異常の警告ランプが点灯した。エンジン交換が必要という。
同社は4日後の8日、GPWSの作動に基づく回避措置を取ったとして国交省に報告したが、地表から30メートルまで接近したことは伝えていなかった。接近の事実は10日、国交省が同社に問い合わせた中で発覚した。
報告が遅れたため、操縦室内の会話や管制機関との交信内容を録音する音声記録装置はデータが上書きされ、残っていないという。
国交省によると、GPWSの作動に伴い地表への衝突を回避するために緊急操作した重大インシデントは、10年10月に続き2例目。
HACは報告遅れについて「当初は重大インシデントととらえなかった。6日以降にフライトレコーダーを調べ、初めて重大性を知った」と説明している。【川上晃弘、片平知宏、鈴木勝一】

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