2011.05.11
「事故調査委員会」は、その機能を果たせるか!
東電は、「賠償紛争審査会」に対して、支払い能力に限界があるとして「東電の賠償責任基準を求める」要望書を出しました。
これに呼応するように財務省・経産省(東電)など、あちこちから「原発事故賠償スキーム」案が浮上していると、洩れ聞こえます。
その骨子は、不足分は、政府が負担して、今後の東京電力の利益から最大でも1000億円程度を捻出して延々と賠償金を支払うというのがどうも骨子のように受けとめられます。
1980年代から「永続的に」「一方的に」、「原発安全神話」を吹き込んできて、多大な利益を享受した「東電」。またそのおこぼれを受け取った、政治家・財務省(原子力安全保安院)/経産省官僚・東京大学を中心とした原発擁護学界と学者達(原子力安全委員会)・多大なコマーシャルを受け取って「安全追及に、蓋をしてきた大メディア群」。
もとより、そういう構造が成り立つその「源泉」は、「電力の専売制度」から来ていることは、段々明らかになってきました。
国民は、お上を頂点とした「安全神話」の上で、何も「危険」を知らされず、チェルノブイリを超える「災禍」を受け、これからの将来も受け続けると言う歴史にない異常事態に置かれることとなりました。
しかし、多くの方が疑問を抱いたままの問題が山のようにあります。
いまだ、公開されていない「責任を特定する事故情報」も明らかにされていません。
例えば、「3月11日事故後にどういうことが起きていて、どういうアクションをとったのか」「総理視察のあと、大丈夫と言ってきた原発で、水素爆発が起きた経緯」「高濃度汚染水とは、どういう単位で、低濃度汚染水とは、客観的にどういう数字なのか」「スピーディイ(汚染地域速報)の隠蔽」、枝野長官が言い続けた「安全である、今は」という迷コメントは、「いつからどういう風に危険になるのか」
などなど・・・。
隠蔽されている或いは、隠蔽されてきたこうしたデータを明らかにして、「原因と責任の所在」を明確化するのは、「事故調査委員会」です。
これまでの航空における「事故調査委員会」とは、「真の事故原因に迫る」ような報告に薄く、「個人の責任に歪曲化」してきた歴史があります。「委員会のメンバーは、現場を知らない科学者と、現場代表と言っても明らかに、エアラインの意向を受けた経営陣などで構成されていて、人数も「これで大丈夫なのか・・・・?」と驚くほど小人数です。先進諸外国から見れば、お恥ずかしい位置づけであります。
さて、そういう点で「原発事故調査委員会」は、だいじょうぶでしょうか・・・。心配です。
とまれ、「責任を不明確にし、被害を受けて国民に更に増税でおいうちをかける」「東電を中心とした癒着構造と東電を延命させる」ような危ないステップには、十分なる注意を払っていく必要があります。
最低でも、電力の「発電」と「送配電」事業を分離させるような、仕組みを確立させなければ、日本のエネルギー政策の転換どころか、東北をはじめとしたすべての被災者に、確実に誠実に「賠償を行う」こともできないのではないでしょうか。
東京電力の賠償額に上限設けず、6項目の措置提示=海江田経産相
2011年 05月 10日 22:33 JST大手商社は12年3月期も資源高で増益基調に、4社が増配予定 トヨタ、生産正常化は従来見通し通り11─12月に復興基本法など今週中に国会提出=菅首相 ギリシャ、新たな支援策がまとまるとの報道を否定 [東京 10日 ロイター]
海江田万里経済産業相は10日、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)の清水正孝社長に対し、原発事故の賠償総額に事前の上限は設けず、迅速な賠償実施などを求める確認文書を提示した。
東電が同日午前、政府に示した賠償における支援要請を踏まえ、東電に対し6項目の措置を取るよう求めた。この確認事項では「賠償総額に事前の上限を設けない」とした。「事前の」と断りを加えた理由について海江田経産相は「スキームを決める前段階となる今の段階で上限を設けることはできない」と説明。ただ「これからも上限を設けないとの考え方でスキームを組み立てている。当然、これからも(上限を設けない)、ということになる」と述べた。
経産相は、東電が明朝に会議を開き確認事項を検討する意向だと説明し「明日結論が出ればいい。(期限の)後ろもあるので、その中でしっかりした回答をもらいたい」と述べた。政府が検討する賠償スキームについては「賠償の金額がそのまま電気料金乗ってこないように、できるだけ電気料金の引き上げを抑えるスキームを作りたい」と述べるにとどめた。
賠償に向けては、福島原発の安定化や現場の従事者への経済面での配慮、電力の安定供給や設備の安全確保などで必要な経費を確保することを求めた上で、最大限の経営合理化と経費削減を求めた。資産のスリム化も必要だとし「資産売却や証券化など、資産を身軽にする作業も是非行ってほしい。かなりの金額が出てくる」と述べた。
「金融機関にも応分の協力を求めたい」とした。「民間同士の話なので、どうしろとは言えない」と述べ、具体的な協力のあり方への言及は避けた。原発事故後、金融機関が2兆円規模の巨額の融資を実施したことについて「大変、意味のある融資ではなかったかと思っている」と高く評価した。ただ「ここ(確認事項)で言っていることは別」と述べ、追加的な協力を想定していることを示唆した。
東電の経営財務の実態を調査するため、法律・会計の専門家や企業経営の経験者などで構成する第三者委員会を設ける方針も示した。この狙いについては「これから具体的に政府の金が入っていけば、デューデリジェンス(資産査定)も考えられるが、まだ、正規の意味でのデューデリジェンスができる状況にない。プレ・デューデリジェンスというようなものを念頭にした」と説明した。
代表取締役の報酬返上など、同日午前に東電が示した追加リストラの考え方については「現場で働く人たちに過剰な圧力が加わってはいけない。まず、上に立つ人が身を削るのはいいかと思う」とした。
一方、海江田経産相自身も原子力行政に責任があるとし「大臣俸給は全額をお返しする」と述べ、国庫に寄付する意向を示した。期限は「(福島第1原発の)原子炉が安定するまで」とした。
確認事項で提示した6項目は以下の通り。
1)賠償総額に事前の上限を設けることなく、じん速かつ適切な賠償を確実に実施すること。
2)東京電力福島原子力発電所の状態の安定化に全力を尽くすとともに、従事する者の安全・生活環境を改善し、経済面にも十分配慮すること。
3)電力の安定供給、設備などの安全性を確保するために必要な経費を確保すること。
4)上記を除いて、最大限の経営合理化と経費削減を行うこと。
5)厳正な資産評価、徹底した経費の見直しなどを行うため、政府が設ける第三者委員会の経営財務の実態の調査に応じること。
6)全てのステークホルダーに協力を求め、とりわけ、金融機関から得られる協力の状況について政府に報告を行うこと。
原発事故の賠償問題、東電の株主責任も大事な課題=玄葉氏
2011年 05月 10日 12:03 JST
[東京 10日 ロイター]
玄葉光一郎国家戦略担当相は10日、閣議後の会見で、福島第1原子力発電所事故に伴う賠償問題に関し、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)の株主責任のあり方について「社債・株主の問題というのは、当然、議論の対象になり得る」とし、「国民負担との関係で、株主・社債の問題をどう考えていくかは、大事な課題の1つ」と語った。賠償スキームの策定にあたっては、政府が関係閣僚会議を連日開催するなど大詰めを迎えているが、玄葉氏は「大切なことは迅速かつ十分な補償がなされることだ」とし、「東電のリストラを含めて国民の理解が得られ、マクロ経済の安定あるいは電力供給を総合的に勘案して決めることが重要だ」と続けた。
その上で、スキームとりまとめのタイミングについて「政府としては10日に決定したいと考えていたと思うが、党内の議論を今日、場合によっては明日も行い、それを踏まえて結論を出すことが望ましい」と述べ、党内議論の反映を求めた。
東電の賠償に上限を設定する考えについては「上限を設けることが適切かと問われれば、東電として最大限の努力が行われなければならない」と慎重な見解を示した。

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