2011.05.05

「官僚・縦割り」が「危機対応」にも及ぶとアメリカ・マル秘公電!

日本から本国アメリカへ打たれた各種米国公電が「ウィキリークス」によって公表されました。

社会基盤や危機対応が「官僚支配の縦割り」という報告を、2008年以来報告されていることが明らかになりました。

政権が自民から民主へ変わる事態の中で、アメリカの日本を見る目と分析には、客観的な眼が見られます。

現在の「人災/原発事故対応」の源がどこにあるのかを鮮明に語っている面も感じられ一読をお薦めします。

首相「政府としてコメントすべきでない」〈米公電分析〉

朝日新聞   2011年5月4日20時

    
. 菅直人首相は4日、内部告発サイトのウィキリークスから提供された米外交文書公電の内容を分析した朝日新
聞の報道について「ウィキリークスは合法的な形で(入手したので)はない情報を発表している。

政府としてはコメントすべきでないという姿勢だ」と述べた。訪問先の埼玉県加須市で記者団の質問に答えた。

 公電では、日米両政府が合意した在沖縄米海兵隊のグアム移転を巡る2006年春のロードマップで米政府が関連費用を水増ししていたことが判明した。

 自民党の石破茂政調会長は4日、「真偽のほどは把握していないのでコメントできない。日本側の負担を少なく見せるためとか、そういう作為的なことはしていないと思う」と、訪問先の宮城県石巻市で記者団の質問に答えた。石破氏は07年9月から08年8月まで防衛相を務めた。

 一方、沖縄県の仲井真弘多知事は4日、「日本国政府に聞いて下さい。あまり興味ないですね。どこまでまともなのか」と述べた。

 米軍普天間飛行場を名護市辺野古に県内移設するための環境影響評価の後に滑走路を日米合意案から沖合へずらす約束を、07年に当時の小池百合子防衛相が仲井真氏としたとされることについては「そんな話があったかもしれないが、覚えていない」と語った。

登場の政治家ら相次ぎ「ノーコメント」〈米公電分析〉

2011年5月4日17時4分

    
. 朝日新聞が入手した米外交公電に基づく報道について一部の政府関係者は「不法な方法によって(ウィキリー
クスが)入手した外交の秘密が報道されることは極めて遺憾」と語った。

 民主党政権の対米姿勢を「愚か」などと批判したとされた斎木昭隆・駐インド大使は朝日新聞の取材に「そのような発言をした記憶はありません」と回答した。

 公電に登場する政治家の多くが「すべてノーコメント」(前原誠司・前外相)と回答した。

 松野頼久元官房副長官は「この文書内容がいったい誰との会話なのか不明であり、公電なのかどうかの信憑(しんぴょう)性が分からない。そもそも米国側とは非公式会談である以上、内容などの真偽について私からコメントする立場にない」と述べた。

 小池百合子・元防衛相は、07年11月、当時の在沖縄米総領事との会話で、環境影響評価が終了した後なら普天間代替施設の滑走路を50メートル移設することに同意すると、非公式な約束を沖縄県の仲井真弘多知事に与えていたと認めた、とした公電の記述について「そんなことは言っていない。あり得ない。その場に総領事が来たという記憶もないし、必然性もない。すべてにおいて非常に違和感を感じる」と否定した。

「官僚制、縦割り」日本の社会基盤と危機対応 米公電訳

     2011年5月4日11時30分
    
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発信地:東京 日付:2008/3/18 区分:

日本における重大な社会基盤と危機対応

1.要約:日本には様々な自然災害や、重大な社会基盤やシステムに対するその他の歴史的な課題がある。

その結果として、この国は、例えば地震のような既知の脅威に対応する準備と能力を発展させてきた。そして、他国が災害に準備、対応する能力を高めるのを助けるために、そうした情報を共有する意思を示してきたという経緯がある。しかし、官僚制の中での縦割りと目先のリスク回避の気風が、例えばパンデミック(感染症の大流行)のような、それほど準備が整っていない脅威に対する日本の脆弱性を大きくする可能性がある。米国と日本の経済の統合度合いや、世界第2の経済としての日本の地位を考え合わせると、日本での破滅的できごとが及ぼす影響は重大なものになる可能性がある。重大な社会基盤とその防護という課題に関する二国間の接触をさらに進め、いかなる重要社会基盤や危機対応に関する作業についても、日本を加えるようにすることは有益であろう。要約終わり。

序論

2. 日本と米国は世界で最も大きな二大経済であり、互いに密接に結びつくと同時にほかの主要経済ともつながっている。したがって、日本での破滅的なできごとや重要な社会基盤の不全は、米国、その他のアジア諸国、さらに世界経済にマイナスの影響を及ぼす。

3. 米国と日本を最も直接的に結びつける社会基盤やシステムの中には、情報とコミュニケーション、運輸、流通、そして金融システムが含まれる。日本の基幹となる産業や研究開発分野の中には、高度に専門化されたハイテク機器や技術の唯一の提供源である例もあるが、多くの米国の産業にとって日本からの素材は価値があり、時に不可欠だということを示している。

情報とコミュニケーションのシステム

4. 情報とコミュニケーションのシステム群が不全を起こせばその影響は即時性がある。こうしたシステムは地球規模かつリアルタイムで結ばれている。大規模な停止があれば、運輸、エネルギー、国防、金融、医療保険など、重要な産業やサービスに影響しうる。

5. こうしたシステム群にとっての最大のリスクは、仮想空間のもので、サイバー戦争やサイバー犯罪によって引き起こされるように見える。そうした攻撃は、実際の物理的攻撃よりも容易に実行でき、影響も大きくなりうると考えられている。システムの基盤や内容、ネットワーク上の取引、そうしたネットワーク上でアクティブな個人や商業に対しても攻撃が加えられる可能性がある。サイバー安全保障上の脅威はインターネット上での活動の不可避な部分となっているようであり、潜在的な攻撃者の能力もネットワークの管理者の能力も、すでに発達しており、継続的に成長している。

6. しかし、地球規模の情報ネットワークに対する物理的な損傷も、特に大洋間海底ケーブルやリモートサーバーのようなデータ基盤をめぐっては脅威であり続ける。しかし、データの冗長性やネットワーク上で信号をリルートする能力があることを考えると、そうした事象は米国にとっては相対的に軽微な影響しか及ぼさない可能性はあるが、大洋間海底ケーブルを修復する時間とコストは相当なものになる可能性もある。

7. 日本はサイバーセキュリティの状況を改善し、危険に対処する政策を追求している。日本にはサイバーセキュリティに特化した公共機関も民間組織も存在し、内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)やJPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)が、そうした試みを調整している。現在、この国は情報セキュリティに関する3カ年計画の2年目を迎えている。

8. 日米情報セキュリティ対話は、国土安全保障省とNISCによって主導されており、情報を共有し、協力可能な分野を検討し続けている。一例を挙げると、2008年3月のサイバーストーム2演習には日本のオブザーバーが参加した。こうした努力の結果、サイバーセキュリティの即応能力や国際的な計画立案、調整が改善し、最善の取り組みが知られるようになり、各国の計画改善につながるはずである。

空港と港湾

9. 日本と米国の運輸のつながりも、二国間や地球規模の経済にとって不可欠なものである。2006年に両国間の双方向の貿易額は2077億ドルに達した。平均すれば、一日あたり5億6900万ドル相当の物品が日本の空港・港湾を、日本からか日本向けかの方向で通過している。

10. 米国との便がある日本の三大空港は成田、関西、中部である。両国間の旅客に便を提供するだけでなく、こうした空港は汎太平洋旅客便の重要なハブである。米国との旅客便でみれば、成田からは一日あたり、50便、1万3千人の旅客が米国に到着している(これより多いのはロンドン・ヒースローだけである)。こうした空港での混乱は、従って、米国及びアジアにとって重大な影響を持ちうる。

11. こうした空港を通過する航空貨物も重要な経済的つながりを構成している。2007年には、約200億ドルの貨物、あるいは日本の輸出額の13パーセント近くが、成田空港から航空貨物として出された。金額でみると、この空港を通じた貿易額は、ほかのあらゆる日本国内の港湾を通じたものよりも多い。成田は、全世界との輸出入額でみれば、東京港のざっと2倍を扱っている。成田の取り扱い貿易額は日本の港湾で貿易額が最も多い名古屋港よりも72%多くを扱っている。

12. 日本の港湾も重要な経済的つながりを構成する。五大港湾は東京、横浜、名古屋、大阪と神戸である。2006年にこれらの港湾が米国向け、米国発で扱ったコンテナは100万以上(143万TEU)に達した。

13. 日本政府は港湾セキュリティを提供する部局も政策も確立し、それが基盤防護と国境管理の双方に及んでおり、例えば国際船舶及び港湾施設保安コードのような国際的な基準に見合っている。税関・国境取締局(CBP)、連邦航空局(FAA)や米沿岸警備隊のような米政府の実務機関は、日本側のカウンターパートとなる政府機関との間で継続的な対話と情報共有のプログラムを有する。港湾と海運の保安を強化する具体的なイニシアチブの例としては、メガポート計画がある。日本は、メガポートについてのパイロット計画を横浜で開始することを検討しており、国土安全保障省やエネルギー省と計画について協議している。

金融市場の基盤

14. 金融市場は、(日米)二つの経済を緊密に結びつけるその他の基盤の明確な例である。日本の金融システム基盤の損壊や、金融取引決済の停止は、米国やその他各国に重大な波紋を及ぼすだろう。

15. 金融システム基盤の構築、維持と防護は、金融サービスの規制官庁である金融庁と支払いシステムに責任を負う日本銀行の監督の下、民間部門にまかされてきた。

日本における災害と脅威

16.日本は破滅的な自然災害に見舞われてきた歴史がある。歴史的に見て、重大な自然の脅威としては地震、火山噴火、暴風雨と大火がある。1923年の関東大震災はM7.9で、およそ10万5千人が亡くなった。1995年の阪神(神戸)大震災はM7.3で、6437人が犠牲になった。1996年と2005年の間に世界で発生したM6.0以上の地震のうち20.8パーセントは日本で起きた。世界の活火山のうち7%は日本にあり、富士山は最後の噴火は1707年から1708年にかけてだが、なお活動を続けており、3000万人の住民がいる首都圏にとって脅威である。暴風雨はもう一つの問題で、1959年の伊勢湾台風は5098人の命を奪った。しかし、災害による死者数は明らかに下降傾向にある。この状況に貢献した要素としては、技術・工学の改善と安全基準の強化危機への準備や対応の改善などが挙げられる。

17. 日本はその他の種類の脅威にも直面しており、その中でも最も深刻なものの一つがパンデミック(感染症の大流行)である。SARSや鳥インフルエンザは大きな影響を日本では与えなかったが、この国はパンデミックに対して脆弱性を有する可能性がある。それに加えて、日本はテロリズムも経験してきた。例えば在ペルー大使公邸人質事件や東京の地下鉄サリン事件がある。1995年のサリン事件の攻撃では12人が死亡し、1034人が負傷した。日本の大量輸送交通機関が安全であるという大衆の信頼は揺らいだ。

18, 日本は電力需要のうち約30%とかなり原子力発電に依存している。日本ではこれまで原発に対する攻撃は起きていないが、いくつかの施設で安全に関する事故が起き、中には犠牲者や長期間の運転停止を招いたものもある。最も最近の例でいえば、発電容量でみると世界最大の原子力発電所、新潟県にある柏崎刈羽原発は、2007年7月の地震から操業停止している。2007年夏にはまた、北海道電力は、泊原発での原子炉建設現場での放火とみられる不審火を防げなかったことで批判を受けた。

19. 日本の政治指導者たちや大衆は、国家が輸入食料と輸入原油に依存し続けていることに対して懸念を表明している。日本人の中には、戦争直後の食糧不足の記憶を持つ人たちもいる。食糧安全保障上の懸念にもかかわらず日本の食糧自給率は40パーセント以下であることから、日本が現実的に食糧安全保障を確保する道は安定して信頼できる物流を通じてしかない。

緊急即応性と対応

20. 日本政府は以上のような脅威に備える手段をとってきた。日本は災害対応や緊急事態即応のための法的、組織的枠組みを構築してきた。日本政府は国家レベル、地域レベル、地方レベルでそれぞれ対応能力を築いてきた。災害対応努力は防災担当相が監督し、内閣官房によって調整され、23の政府機関、63の公的法人や私企業がかかわる。日本での災害対応の法的な基盤は1961年の災害対策基本法で定められている。

21. 日本の官僚制や計画制度は融通が利かない可能性があり、その結果、日本はなお、異なる種類の準備が必要とされるような未だによく理解されていない脅威に対してはなお脆弱性を有しうる。パンデミックや大規模なサイバー攻撃は、地震に対して適切な対応とは異なる対応を必要としかねず、日本政府や私企業は準備不足を突かれる可能性がある。そうした状況は今度は、重大なシステムやサービスの長期間にわたる喪失につながりうる。

22. コメント: 発達したハイテク技術や、その産業分野、消費分野での応用は長年、日本の経済成長の鍵となる要素となってきたし、米国の主要企業やほかの企業にとってもそれが現実である。供給ラインの根絶は重大な結果を及ぼしうる。同様に、国際金融サービスや通信、運輸上のハブとしての日本の役割が意味するのは、ここで挙げたような諸活動を阻害するような攻撃やその他の重大事態が起きれば、米国やその他の同盟国にも深刻な影響を及ぼす可能性があるということだ。参考公電に挙げたような努力を米国が進めるにあたり、万が一の混乱を防ぐため、あるいは実際に起きた場合に悪影響を最小限に抑えるために我々が取れる諸手段について日本と接触して協議することを検討するのは有益かもしれない。コメント終わり

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