2011.03.02
「エアバス380」の風が吹く!出遅れが心配の「B-787」・・・。
大韓航空のエアバスA380型の1号機
2007年10月にシンガポール航空でエアバス380がデビューしました。
ゆったりとした「キャビン」ということでは、シンガポール路線でも明らかになったように、エアバス380利用者の評判は、上々といえるようです。
一方で次世代機の「ダウンサイジング」の象徴と言われているボーイング787のデリバーは、いまだ遅れています。
最近でも、羽田国際化に間に合わせるから→2010年11月には→2011年8月までに、というような経緯をたどっています。
世界で一番初めに「まだおぼろげにしか見えない新型787機」を55機も発注したANA、後を追って35機ものオーダーをかけたJAL。その数合計90機。
ボーイングにとっては、まさに世界一のマーケットです。
~「ハブ&スポーク」と「PtoP」~
「ハブ&スポーク」とは、ハブ空港に大量輸送そこから放射状に短距離路線で運ぶことです。「グループ運賃適用の運び手」となったのが、「ジャンボ機・・・・ボーイング747」。その威力を発揮しました。
「ポイント TO ポイント」とは、ハブ空港をさておき、ローカルとローカルでも直接繋ぐ方向性で、空席を少なくし、燃費をセーブする中型機を使用する考え方で、ボーイング社はこちらにシフトしました。
一方で、当時のエアバスの母体は、「超音速コンコルド」でスピードの力を入れてきましたが、「大量輸送とコスト削減を両立」へと舵を切りました。
目指す方向が全く異なっていた「エアバス」と「ボーイング」ですが、今や攻守ところを変えて、大量快適輸送の頂点にエアバスが立って、攻勢をかけている景色なのです。
そうこうしている内に、ますます「エアバス380」の配備が続き、快適性競争では、中型ボーイング787に期待するだけの日本勢は、後手後手に回っているようにも感じられます。
大韓航空A380型機公開-1号機は6月、成田~ソウル仁川線に
(2011年02月28日)
大韓航空(韓国、KE)が導入するエアバスの総2階建て大型機A380型機の1号機が2月23日、独・ハンブルグにある工場で外部塗装を完了し、関係者に公開された。同航空会社が2014年までに合計10機導入する同型機の初号機で、6月に成田~ソウル仁川(インチョン)線の定期便での運航開始が予定されている。 同社仕様のA380は2階が全席ビジネスクラスで、フルフラットになるシートを94席配置する。同型機の2階席全席をビジネスクラスにするレイアウトは、世界初だという。1階前方にはファーストクラスを12席、後方にエコノミークラスを301席配置。エコノミークラスのシートピッチが同社航空機の中で最大級になるほか、合計で407席となる総座席数は同型機としては世界最少になるという。
機体の塗装作業は2月8日から23日まで、16日間にわたって行われた。航空関係者によると「通常の大型機の塗装には10日ほどかけるのが一般的だが、A380はその巨大さから塗装にもより長い時間がかかる」という。同社は今年中にさらに4機のA380を受領する。
~惜しまれる「ジャンボ747型機のあっけない退役」~
~ドル箱路線の効率は、大丈夫か?日本のエアライン~
大量輸送の箱の大きさは、これ!!
例えば、JA8915 というのは、日本航空が100機目に購入した747。かつて「JAL's 100th 747」と塗装されていました。同機は、後に、"YOKOSO! JAPAN"の塗装が施されましたが。
JALが購入使用したの747は実に100機以上であるわけです。ボーイング社にとっては、世界一のユーザーでした。
「JAL赤字の一因が燃費が悪い747を買い込みすぎた」とメディアでは、言い伝えられていますが、確かにアメリカとの「おつき合い」で買わされた側面はありますが、だからと言って300億円もするB787に急いで切り替えねばならないほど、のことではありません。
ヨーロッパのエアラインを見てみれば、747の現保有機数は以下のようです。
エールフランス・・・・23機
KLM・・・・・・・・・・・・22機
BA・・・・・・・・・・・・・57機
エアバスが本場のヨーロッパでもこの状況です。747の燃費が悪い?という政府やメディアの言い分も当てにならないことがよくわかります。
一機300億円と言われている「新型機材」を「すべての747を叩き売って買わねばならないお家事情ではないのでは・・・!」と思えます。
天井は高く、スペースも余裕のあったキャビン、満席時の閉塞感が唯一ない747機は、旅客にとっても「より快適」な機材であったことは、まちがいありません。
バイバイ、ジャンボ 日航で最終便
asahi .com 2011年3月1日18時12分
「ジャンボ」と親しまれ、空の大量輸送時代のきっかけになったボーイング747型機の運航を、日本航空が1日で終えた。午後に成田に到着した2便が最後になった。最大で500人以上を乗せられるジャンボは、羽田など主要空港の発着枠に限りがあった日本で歓迎された。1970年代から日航、全日空が競って導入した。中でも日航は、一時80機以上を所有する世界最大の利用会社だった。国内線の短い路線を頻繁に飛ばすため、数多くの離着陸に耐えられるよう部品を強化した専用の機体も開発された。
一方で、エンジンが四つあって燃費が悪いこともあり、日航では経営破綻(はたん)の一因にもなった。 日航でジャンボの運航乗員部長を務める畑辺三千夫機長(55)は2月27日、ジャンボでの自身最後のフライトになるホノルル―成田便に乗務した。34歳で副操縦士になってから、操縦したのはジャンボのみ。2008年には暴動が起きたタイに、在外邦人を救出するため赴いたこともある。「性能的にはもう少し飛べるとは思うが、仕方ない」。すでに多くのジャンボの操縦士が退職。貨物機としてまだジャンボの需要がある中国や韓国に渡った人もいる。
機体をクジラに見立てた「マリンジャンボ」や、人気キャラクターを描いた「ポケモンジェット」といった個性的なジャンボが親しまれてきた全日空も、国際定期便の運航は1月で終えた。国内線も15年に引退する。
1万時間近くをジャンボで飛んだ全日空元機長の高田正彦さん(67)は「今は小型機で頻繁に飛ぶことが求められる。一度にたくさんというジャンボに合った環境ではなくなってしまった」と話す。(永田工)

コメント
A380も4発ですからB747と比べていか程運航効率がいいのか疑問ですが、一機あたりの輸送力アップで利益率があがると言うことでしょうか。ただそれもブレークイーブンのロードファクターを上回っての話ですが...
フリート戦略は各社各様です。
香港のC社などはあれだけ長距離路線ももちながらA380は当面視野に入れず、古くなったB747は退役の方向で、A330/A350やB777ERなどで機材更新を図るようです。
シンガポールのS社がいち早くA380を導入した時にライバル各社で追随する所が多い中、C社は独自の展開で2010年度には史上最高益だとか。
JAL/ANAにもそうなってほしいものです。
投稿者: 一外航勤務者
トラックバック
この記事に対するトラックバックのURL:
この記事へのトラックバック一覧です:
Copyright (C) 2001 - 2004 Hideshima Issei All rights reseved. p>