2010.09.09

ANAがLCC設立へ一歩!

ANAが「LCC」会社設立の発表ということで、メディアは、随分大きな報道をしています。以下の報道にも見られるように、

1.ANAとは、別に設立される「LCC」に約40パーセントの出資をする。香港のファンド「ファースト イースタン」との提携である。

2.拠点を「関西空港」に置く予定。

3.関西/首都圏の路線も考える。(羽田はとても入れないので、茨城空港を想定か?)

4.一部報道では、「5000円」とあったが、そういう発表は、されていない。

ということがポイントのようです。

8月31日に発表された「日本航空再生案」にも、「LCC参入を検討する」と加えられていました。

政府筋がよほど「LCC危機感」を募らせている反映と言う風に見えてしまいます。

日本のエアラインJAL・ANA両社とも、アジアの格安攻勢にそれほど危機感を持っていないのではないでしょうか。中国・韓国・マレーシアなどから地方空港に入ってくる「LCC」は地方への観光客誘致、当地からの日本人観光客の利用と言う点では、発展の兆しはあるものの、首都圏の基幹空港(欧米へ向けて国内/国際、国際・国際の接続が可能)へは、発着枠や高額な着陸料からいって、とてもLCCの採算には合わない、などの問題があり、おいそれとは、就航できません。

地方空港を巡るマーケットは、現在・近い未来とも、それほどの脅威を与えるとも思えません。

問題なのは、日本のエアラインは、国内線では「高額な着陸料の他に、航空機燃油税」を支払っており、トータルな競争体力を著しく落としていることです。

関西空港は、高額な着陸料である、関西圏に3つの空港がある、ことから就航する大エアラインが次々に撤退し、着陸料の値引きなどでアジアのLCCを呼び込むことが上げ潮です。

また、成田空港にもLCC専用ターミナルの建設が予定されており、多分、時間帯が悪い発着枠については、着陸料の割引なども検討されているはずだと思えます。

今回の「ANA」のLCC対策は、こういう事態をにらみながら、「公租公課」が減じられた場合フルに動かせる「エアライン」を傘下においておくという先行投資的な意味合いを感じます。

JALは、かつて「JALWAYS」を子会社化して、リゾート路線を就航させました。タイ人CAと外国人パイロットの両輪でコスト削減を目指しましたが、コックピット内のチームワークやパイロットとCAのコーディネーションなど安全上の問題で、日本人パイロット(JALからの出向)ですべて運航されてきました。

これは、当初考えていたローコストと言う点では、あまり意味がなくなり、JALに吸収したほうがコストが削減できると言う結果となりました。

「安全」を看板にして、利用者の信頼を得て、一定のマーケットを保持するエアラインが、そのブランドで「LCC」会社を経営しても、サービスダウンや安全に不安要素を持ち込むなどをすることが、本体を揺るがすことにもなりかねない、というリスクも抱えているのです。

オーストラリアの「カンタス航空」は、機内サービスは、食事は勿論、ブランケット・イヤフォーンに至るまですべて「有料」として、合理的な運賃設定をしています。あとは、利用者個人の選択となりますが、「無事故を誇るカンタス」の大看板が「見えない安全」の信頼をうあら打ちしていると言う状況でしょう。これもLCCのひとつのタイプです。

せんだって、話題になった「春秋航空」の場合、座席を作れるだけ作っているので前後のピッチも狭く、「いったん事故やトラブルが起きた場合」窓側や真ん中の席の乗客は、外に出ることもできなくなるのは、明白です。

これからは、同じLCCにも、いろいろなタイプがあることを知っておくことが重要です。

全日空、格安航空参入を正式決定へ 関空拠点、11年度にも設立
2010.9.8 16:58
 全日本空輸が9日に開く臨時取締役会で、格安航空会社(LCC)への参入を正式に決めることが、8日明らかになった。関西国際空港を拠点とし、2011年度にも設立する方針だ。アジアの有力なLCCが相次ぎ日本に就航していることに対抗し、収益の拡大を目指す。

 新会社の資本金は数百億円とし、全日空は筆頭株主となるが、出資は3割程度に抑える。ファンドや国内の旅行会社、商社など他の業種からも広く出資を受ける方向で検討する。

 「ANA」とは別ブランドで国内線と国際線を展開。従業員も新たに採用し、給与体系を分けるなどでコストを抑え、運賃を大幅に低く設定する。

 LCCは機内食や飲料の有料化などでコストを抑え、路線や座席、時期などで大きく異なるが、運賃は大手よりも2~7割安い。会社更生手続き中の日本航空も参入に向け検討している。

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コメント

I am pleased you took the time and wrote this. Kind Regards, Bradly

投稿者: hs insurance

JALも追ってLCCの設立を再建案に織り込んだようだが
そもそもそんな余裕が有るのなら銀行に金を返してください。

投稿者: 情報

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