2010.02.09
「ワンワールド」から動かないこと、稲盛会長の選択に、賛成です。
世界の民間航空は、1978年のアメリカの航空規制緩和(規制撤廃指向)Deregurationによって熾烈な競争になりました。
アメリカでは、国際線を持つエアラインは、アメリカン航空、ユナイテッド航空、デルタ航空の3 大メガキャリアがサバイバルして、この3社で市場を支配する状況になりました。あのパンナムやTWAが消失したのもこの時期です。
その後も、9・11、景気の後退、SARSなどにより、国際線旅客の需要は落ち込みましたが、この3社のうち、ユナイテッド・デルタ航空とも、政府の庇護(チャプター11・連邦破産法適用)のもと、現在があります。
国際線のネット網を維持しつつ黒字経営をしてゆくことがいかに難しい時代になっているか、がわかります。そういう意味で、「航空のアライアンス」が1社では、賄いきれない路線網を「支える」役割を果たしています。
簡単に言えば、「アライアンス」を組むことで、まず、「空港」では自前のカウンターを撤退させることができます。巨大な経費削減です。その上、不採算路線は、コードシェアーなどして、自社の路線のように扱うことができます。
~「アライアンス」に対してJALとANAの経営姿勢の違い~
11年前の1999年、「ANA」は、国際線においての激しい攻防を予見してか、1997年に創設された「スターアライアンス」にいち早く加盟しています。今になってみると、国際線拡大をチャレンジする中での必然的な選択であったのかも知れませんが、その「先見性」には舌を巻くものです。ANAが国際線への定期運航を開始したのが、1986年ですから、国際線運航の規模・実績では、JALに追いつく状況では全くなかった中での決断と言うことができます。
こうした動きの中で、ナショナルフラッグたるJALは、一体どういう対応をしていたのでしょうか。私がJALを辞めて間もない時期でもあり、「アライアンス」への考え方は、どうなっているのか「やきもき」としておりました。後に知ることとなりましたが、当時、本社中枢でも「何らかのアライアンスに早急に加盟すべき」という意見が明確にしかも強く出されていたようです。(そういう意見が社内で起きていたということは、「健全さ」がまだ、存在していたと言う風に見ることもできます。)ところが、こうした意見も結局は、封殺されたと聞き及びます。
当時は、「兼子社長」がテレビ東京のビジネスサテライトの番組の中で「アライアンスについては、どう考えるか?」というインタビュー質問に「当社としては、現在のところ、考えていない。必要とも思わない」と言う趣旨で答えているのを、視聴しました。「自信」の裏側に「経営方針」の頑固さを物語るシーンとなってしまいました。
このままでは、大変だ、という危機感を感じたものです。
その後、「特定の『アライアンス』に属さず、コードシェアーや共同運航などで個々のエアラインと柔軟に結んでゆくほうが、JALにとっては、良い」と言う判断が、いかに時代に対応していないかということを思い知らされることになりました。
JALの経常赤字の履歴
1996年・・・・・・・・・・169億円
2001年・・・・・・・・・・415億円
2003年・・・・・・・・・・719億円
2005年・・・・・・・・・・416億円
そして、2007年、ANAから遅れること8年にして、「ワンワールド」に加盟ということを決断した訳です。
こういう足跡を考えれば、「アライアンス」として踏み出した「ワンワールド」から、「スカイチーム」に鞍替えすることは、相当の危険性が伴うことになることは、解っていたはずなのですが、なぜか、1月4日に「デルタと提携・スカイチームに変更」という決定をしたと流していました。再建策のすべてがはっきりとしたわけでもないのに、なぜ、「アライアンス」問題だけを慌ててきめようとしているのか、なんとも不思議な問題でした。
「ワンワールド」にやっと馴染んだ顧客からの信頼性、変更に伴う莫大な費用と時間、そして、「太平洋路線がデルタとJALで54㌫となり、米国内の独禁法に触れる可能性」の問題は、今、アメリカ内で起きている「トヨタ」へのバッシング、「JAL」経営への不信感などを考え合わせれば、「ワンワールド」維持ということのほうが、賢明であることは、火を見るよりも明らかななのではないでしょうか。
この点で、稲盛会長の「昔からのつき合いは、大事だ」は、的を得ているように思います。
日本航空:アメリカンと提携強化 稲盛会長意向で検討
毎日.2月8日
経営再建中の日本航空が、米デルタ航空との提携方針を白紙に戻し、日航と同じ航空連合に所属する米アメリカン航空と提携を強化する方向で再検討に入ったことが8日、明らかになった。日航の稲盛和夫会長はアメリカンとの提携強化を支持しており、社内に稲盛会長の意向を尊重する意見が強まっている。週内にも提携先を決定した上で、米運輸省に独占禁止法の適用除外(ATI)を申請する。管財人の企業再生支援機構と日航は1月末、加盟する国際航空連合を、アメリカンと同じ「ワンワールド」からデルタと同じ「スカイチーム」へ移籍する方針を固めた。欧米やアジアで充実した航空網を持つデルタとの提携が、中長期的な成長に資すると判断したためだ。
しかし、関係者によると、2月1日に就任した稲盛会長は「昔からの付き合いは大事だ」などとスカイチームへの移籍に難色を示したという。移籍した場合、システムの変更に時間がかかり短期的に収益が落ち込むことや、日米での乗客シェアが大きくなりATIが認められない可能性があることなどについて、再検討されている。支援機構も、日航の新経営陣の最終的な判断を受け入れる考えだ。
稲盛会長の経営判断で決着 日航、アメリカンと提携維持
朝日. 2010年2月9日0時31分
日本航空が米アメリカン航空との提携を維持し、米デルタ航空との提携交渉を打ち切ることになった。1日に就任した日航の稲盛和夫会長がこれまでのアメリカンとの関係を重視した。提携相手の変更には一時的なリスクもあるため、短期間での日航再生を目指す企業再生支援機構も稲盛氏の判断を尊重する構えだ。関係者によると、稲盛氏は会長就任前の1月末、アメリカン、デルタ双方の説明を聞いた。その上で、就任後の先週、「長い付き合いがあった人を振り払っていいのか」とアメリカンとの提携維持を打ち出した。共同運航などで長年築いた信頼関係は重視すべきだ、との経営哲学を説いたという。
稲盛氏について京セラ幹部は「必ず自分で考え、自分で判断する。決めたら反対する人をとことん説得する」と話す。日航に乗り込んで最初の大きな経営判断で、さっそく「稲盛色」を発揮した格好だ。
その前まで、日航社内では世界首位のデルタと提携し、デルタが主導する国際航空連合「スカイチーム」に移籍すべきだとの声が優勢だった。アメリカンが主導する航空連合「ワンワールド」にとどまるよりも、規模の大きなスカイチームに移った方が海外からの客を多く取り込めるとの考えからだ。国土交通省も移籍を後押ししていた。 もっとも、ワンワールド残留を決めたのは、単に過去のいきさつに縛られたからではない。航空連合の移籍では、システムやロゴの変更に時間や費用がかかる。デルタは「移籍に伴う減収分や費用は補償する」とするが、日航社内では、システム変更によるトラブルなどを懸念する声もあった。
もう一つ、デルタとの提携に二の足を踏ませる要因となったのが、日航とデルタが組むと日米路線でのシェアが6割を超える点だ。日米当局は昨年12月、航空自由化(オープンスカイ)協定を結ぶことで合意し、日米の航空会社が運賃やスケジュールを調整しても独禁法の例外扱いを期待できるようになった。だが、シェアが高すぎると米当局は適用除外を認めないことがある。日航・デルタ連合が申請するなら、アメリカンは異議を申し立て、認可に時間がかかる可能性があった。
日航のライバルの全日本空輸は昨年12月、米ユナイテッド航空・コンチネンタル航空と適用除外を申請した。認可の遅れは競争上の不利につながる。機構は3年以内の支援終了を目指しており、「将来の成長性はデルタの方がある」(機構関係者)と認めながらも、時間の空費は避けたい。稲盛氏の判断に積極的に反対する理由はなかった。
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