2010.01.18
本日、19日に提示されるべき「JAL再建の青写真」の内容について
これまで、政府・国土交通省は、1月19日に「JAL」は、「会社更生法」を申請し、「企業再生支援機構」が支援を決定する旨報道に対して明らかにしてきました。
そして、まだ「正式決定」もしない中で、「誰が」「どの機関が」?作成したのかも曖昧な、「根拠も明解に示していない杜撰とも言える「再生案」なるものを小出しにリークしてきました。
まことしやかにうたわれた「ANA一社化案」などANAの意向も確かめない、財務省の机上の案に過ぎなかったことも段々明らかになってきています。
航空の状況についてよくわからない一般的利用者が述べるならまだわかりますが、政府ともあろうところが、収益良好も不採算もごちゃ混ぜにしてANAに押し付けるとすれば、日本航空のような政府の庇護も薄く、独立してやってきたANAに、対してまことに失礼な話だと思います。
ANAとて、世界中の航空業界がどこも青息吐息のなかで、国内幹線・準幹線を手堅く運航していることで、国際線を支えているようなもので、全体で言えば、かろうじてサバイバルしているといっても良いのではないでしょうか。
さて、これまでに流布している「再生案」の要旨は、「国際・国内の不採算路線カット」「15000名の人員削減」「子会社を110社から50社程度に」などです。
国際線について
国際線の不採算路線カットといっても、収益率の良い路線と悪い路線など、航空関係者でなくても誰でも一見して解るわけですから、そういう基準だけでは仕分けができるものではありません。単に儲からないところをカットするというなら、なにも「日本航空を温存する」必要もありません。
なぜ、日本航空を破綻させ、消滅させることができないのか、という理由は、日本の国益、「日本が世界に対して経済活動をする上でその足となってきた日本のナショナルフラッグ」は、「健在であり」、今後も日本の国家として支える、また「国家に支える力がある」ということを世界に示さなければならないからです。
従って、路線構成は、「国家を代表するエアラインとしてのネット網」は、保有・維持すべき路線とそうはいっても明らかに撤退したほうが良い路線とに仕分けしなければなりません。
後者については、「強力なアライアンス=航空連合」の力を借りた形で補強せざるを得ないでしょう。その条件に合った「アライアンスは、どこか」また、「コードシェアーなどで提携するべきエアラインはどこか」は、自ずと決まってゆくのではないでしょうか。
国際線の発着枠問題があります。ANAには明らかに「不公正」な配分であった経緯を、「羽田のD滑走路オープン」と共に、羽田とアメリカを結ぶ発着枠は、これまでの経過ではJAL・ANAも2便づつ振り分けられています。では、発着枠が2万回増えた成田では、どういう配分を考えているのでしょうか。JALの4分の一しかなかった発着枠は、ANA側の希望があった場合再配分するのでしょうか。成田には、アジアや中近東のエアラインが列を成して発着枠取得を待っている状況ですので、このあたりの調整はどうなのでしょうか。
アメリカのエアラインの「売り込み」の言葉だけに酔っているようでは、「再生の道」どころか気がついてみれば、「日本航空が開墾した太平洋とアジアのドル箱お家芸路線」を皆、持ってゆかれていた、ということにもなり兼ねません。揺れてもぶれても駄目なのです。ひたすら、「国家の益」を見つめ続けることに集中しなければならないのです。
国内線について
国内線というならば、国家が航空を利用した国民から徴収した税金で、作り出した98もの空港のどこを継続維持し、どこをカットするのか、は明解な基準を持たねばなりません。
当初の希望的過大な需要予測を立てた地方自治体の責任は、それぞれ色合いが違うのかどうか、国家・国交省の総合交通体系(高速道路・新幹線・鉄道・航空の適正な住み分け)のでたらめさで迷惑をかけた度合いはどうなのか、空港維持のための赤字で沈んでゆく自治体の救援優先度はどうなのか、などの見方も公に明らかにしなければなりません。
離島航空など、「医療などの問題を含め生活の足としての決め手」になっているところは、どうするのか。エアラインに補助してきた補助金を維持しつつ、JALがそれともANAが運航するのか、などにもある程度明解な方針が必要です。
仮に国交省並びに大臣が言うように、特定なアメリカのエアラインと提携した場合、本来「カボタージュ」と言う権利で保護されていた「収益性の高い国内幹線」まで飛ばしてくれ、といってきたら、どうするのか。日米オープンスカイ協定の名の下に踏み込まれることはないのか、などに対しての「明言」も重要な問題です。
子会社の整理について
本日早朝のニュースでは、日本航空の規模を7割縮小すると言っていました。これはどういう意味なのか不明ですが、本体の国際国内の運送事業を3割にするということなのか、あるいは子会社を含めた事業規模のことを言っているのか、また意味不明です。
もともとJALが「FLY ナンバーワン」と言う世界一の運送実績をたたき出したその源は「安全運航」と「世界一のきめ細かいサービス」という「商品の質」にありました。
その「品質」は、予約からデスティネーションの空港を出るまで、見事にひとつに結ばれたラインから生まれていたものでした。したたる汗も苦労も喜びも、全社員が共有するところにあったと言っても過言ではありません。
私が現役であった頃から、そのラインは破壊され、何もかもが子会社・孫会社化されてゆきました。昨日までJAL本体が行ってきた空港カウンターやサテライトや乗員・乗務員を繋ぐ空港職員まで、本体より労働条件が落とされた子会社によって運営されはじめたのです。「自分の担当しているところさえこなしていればよい」と言う風土が生まれるのも当然な話です。そして、本体と比べれば、給料の割には過酷な勤務も当たり前というなかでは、辞めてゆくものも多くなり、ベテランが育ちにくい環境ともなりました。
このことは、安全運航の目玉とも言える「整備」でも行われてきました。本体からはじめは出向、次には「子会社」に定着化されて、条件を落として同じ作業をするということへと進みました。その上、はじめは「軽微なものだけ」ということで「中国」や「シンガポール」に整備の外注をしていましたが、「エンジンを含む重要な定期整備」まで経費が安く上がるアジアへの外注を拡大させ、60パーセント以上にまで達するに至りました。極端な例としては、2005年12月、整備後のエンジンが左右逆に装着して納品され、この過ちにJAL自身が半年も気がつかずに運航したということもありました。
これらが「子会社化」して「商品を劣化させた」実態ですが、併行して「子会社の役員ポストは、すべて本体の天下り先」ということも「腐敗と癒着」の温床となっていたのです。子会社のカウントの仕方では、110社と言われていても、資本が入っていなくとも、本体からの受注や下請けを保障する代わりに天下りポストを用意している子会社孫会社ひ孫会社を入れれば300社を軽く超えるとも言われています。本体で役員・部長経験をした天下りは、実働しなくなっても65歳まで本体から100万円程度/月が払われていましたから、もう何をかいわんやの実態です。
ちなみにどこから押しても「黒字」なのは、元日航商事・現「Jalux」機内食御用達のTFK、元AGS現JGS(航空機のグランドハンドリングや清掃を行う。社員数1万人)ぐらいで後は皆実態的に赤字ですから、巨大な天下り組織な訳です。
こういう側面を改める一方で、もともと「日本航空の本体」であった「運航の現場」ラインを元に戻して本体化することも検討しなければならないと思います。この仕分けは、どういう基準で行うのか、もわかりません。
このように、「本気の再生」を考えるのなら、利用者のJAL離れを加速させる恐れのある「品質低下が目に見えている、リストラ一本槍」では、単に収支の数字合わせに終わるのではないかと大きな危惧を感じます。「商品の品質」という側面を詳細に発表する必要があります。「信頼感」とはそういうものです。
稲盛会長の就任と期待度は?
1月17日(日曜日)のテレビ朝日「サンデースクランブル」では、「稲盛会長就任への期待度とJAL経営の軌跡について」コメントをいたしました。
次期社長には、50代前半で子会社の社長まで昇った人物たちを候補にしていると言う報道もありました。これまでの歴代経営陣に認められて、若くして昇格している方々は、「腐った林檎」のひとつとも思えます。
さて、稲盛会長は、どういう人事をされるのでしょうか、注目が集まるところです。
経済評論家の佐高信氏のコメントも「経営陣と最大労働組合の癒着」「政治家と官僚の利権と思惑に翻弄されてきたJAL」について述べられており、まさに「核心を衝く」ご発言でした。
なお、本日の日本航空の「更正法適用の申請」予定にあたって、本日の08:00~テレビ朝日「スーパーモーニング」、11:00~のTBS「ひるおび」でコメントを発しております。
コメント
四街道YS-11大好き 様
ご投稿ありがとうございました。
また、映画「沈まぬ太陽」をご鑑賞戴き、まことにありがとうございます。大いなる喜びでございます。
第64回毎日映画コンクールで「日本映画大賞」を受賞しました。3月の「日本アカデミー」でも相応な評価がくだされるものと確信しております。
初夏を迎える頃には、「DVD発売」も開始されること思いますので、もう一回り多くの方々に鑑賞いただけると期待しております。現役30年を乗務してきた私を含む多くの方が、主役「恩地元」と同様にいわゆる「管理職」にさえ就けさせませんでした。「物言う」ミニ恩地さんが何千人も存在していると言うのが実状です。その分「航空会社」は、輝きを失ってきたと言えます。亡くなられた主役のモデル小倉さんが「日本航空の破綻」を知ったならば、きっと、多くを語らず「悲しい眼」をされるのではないのでしょうか。そのように感じます。
投稿者: 秀島 一生
本日のスーパーモーニング拝見しました。冒頭に「沈まぬ太陽」の主人公には、モデルになった人物がいらっしゃると言う話しがありましたが、このことが番組で紹介されたのを拝見するのは初めてのような気がします。この映画も各地の映画館でロングランで上映されてましたが、今では千葉県内の映画館だとシネプレックス幕張だけで1月29日まで上映されるようです。大画面でもう一度見ておきたいと思いました。
投稿者: 四街道YS-11大好き
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Tracked : Jan 23, 2010 2:13:06 AM
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