2009.12.20

「ドリームライナー・B-787」への          期待と不安!

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2007年7月8日、「ANA」塗装でロールアウトした「787」1号機でしたが・・・。(外観だけの公開でした。)

「B787」のテスト飛行が成功(3時間ほどですが)した、と言うニュースがメディアでもとりあげられました。

787は、ボーイング社の「ダウンサイジング」の旗手なのですが・・・。

本来「GoodNews」であるべき話題なのですが、日本の航空関係者、特に「ローンチカストマーとして世界に先駆けて発注した「ANA」と半年遅れで発注したものの「支払い」「財政破綻していながらなぜ一部でもオーダーキャンセルしないのか」と言う批判も受けている「JAL」の微妙な感覚と言うことが推察できるだけに、日本のエアライン全体として喜びの声としては、出にくい状況なのではないでしょうか。

一方で、航空機の35㌫を製造している日本の航空機製造産業としては、初フライトを心持にしていたことと推察できます。この不況下でも「日本のカイバーファイバーを素材とした軽量堅牢」の技術への評価は、未来への期待を大きくするところです。

「MRJ」については、航空機体のみならず、航空機を飛ばすシステムからエンジンに至るまで製造できるような進捗発展が期待されるところです。

日本は、アメリカ占領下から、飛行機を飛ばすことだけではなく、航空機全般をつくることも「フリーズ」されてきたのが実態です。

航空機宇宙産業は、残念なことながら軍事の開発まずありきでその技術を旅客機に転用するということが本流となっています。この辺の歴史的問題は、前間孝則氏の著書「なぜ、日本は50年間も旅客機をつくれなかったのか」をお勧めします。

さて、「ドリームライナー」のお話へ戻りますが、

機能性の特徴

性能としては、機体のほとんどをカーボンファイバーを使用したことで軽量化されており、767に比較して、燃費は20㌫向上。速度は、マック0.85(767はマック0.80)とされている。航続距離は15700km、東京/ニューヨークを軽くクリアーできる。

快適性への嬉しい期待

一番旅客にとって嬉しいことは、「スペースなど居住性」、まず、天井が767・777より20センチ高い、ということで満席時などの圧迫感が開放される。747のゆったり感を再現させているようにも思えます。

座席については、2-4-2のアブレスト、3-3-3のタイプとありますが、ANAは、2-4-2で発注している(ANA広報)ということなので、一人旅で真ん中の席をアサインされた時の苦労を知っているエコノミー旅客にとっては、この2-4-2座席は、朗報だと思います。

更に、窓もこれまでの1.6倍ということなので、通路側の旅客も外の景色を見ることができるようになります。シェードも廃止され、電子カーテンで光量調節できると言うことです。これまで機内では、「シェードを開けて外を眺めたいと言う人と眩しいから閉めてと言う人とのトラブルがありましたが、このあたりはどうなるのかなとも思いました。

また、ほとんど湿度が取れない機内というのが、常識でしたが、「加湿器」が設置されると言うことで、ロングフライトでの女性の肌や旅客の喉の調子も改善されることでしょう。

更に、トイレには、「温水洗浄装置付の便器」が装備されるということですから、個人的には感動しました。NHKの外国人が感じる「COOL ジャパン」のトップに、この温水洗浄器がランクされていたのを思い出します。日本の翼がローンチカストマーという証しでしょうか。

デリバーされるまでは・・・。

試験飛行成功から、型式証明を取得するまでに短くても約1年かかりますので、日本の空を飛ぶのは、早くて2010年10月以降ということになろうかと思います。

これまでのデリバーが2年以上遅れた主たる要因は、技術的な問題とボーイングのエバレット工場(シアトル)での労働争議もありました。アメリカ経済不況のなかで、突発的な事態もありえることですので、期待と同時に不安も拭えないところもあるわけです。「4回目の延期」は、そういう気分にさせられておりました。

ローンチカストマーの意義

最初のオーダーをしたところ(ローンチカストマー)の意見は、機内のスペックなどには、尊重される、ということがあり、「ANAの要望」が、コックピット・機内に大分取り入れられています。

これまで、体格のよいアメリカ人を基本としてつくられた機内やコックピットは、日本人にとって使いにくい要素が多々ありました。

ギャレーやストウェージビン(手荷物収納の棚)なども背の低い東洋人には、難儀なものでした。CAの採用基準に背の高さがあるのもこれが原因しています。

以下の番組でこういうお話をいたしました。

※  12月16日 TBSラジオ 荒川強啓  のデイキャッチ・スコープ

※  12月17日 CBCラジオ(中日放送)「朝からP・O・N」

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