2009.01.17

「NYCハドソン川奇跡の着水」に感嘆の思い!頭が下がります。

~「もしもの時は、どこに降りるか」 いつも、考えていたに違いない~

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翼より前方の「スライド=が左右とも展開されている。

「バードストライク」に見舞われた事故機のチェスリー・サレンバーガー機長がとった行動、瞬間的な判断と操縦能力には、「パイロットの誇り」さえ感じさせ、まことに敬意を表する以外にないと思います。

サブプライム問題が表面化して以降、アメリカは、「暗い」ムードに包まれていましたが、この「ミラクル」そのものの「事故」への見事な対応が、「明るい」ニュースとして輝いているのではないでしょうか。

それにしても、どこから考えてもまさに「奇跡」です・・・。

しかし、私の乗務体験、パイロット達の修練などから体感することは、

乗員・機長の心構えとして、これまでの飛行のなかでどの空港においても、とりわけ離陸・着陸時には、必ず「何らかの事由で、機の推力がなくなった時、どこへ降りるのがベストか。」「そのときが来たときには、とっさに反応できるよう、常に身構えていた、特にこのラガーディア空港離陸の際は、大惨事を回避するには、どうしたらよいか、という点で、ハドソン川を何百度と緊急着水用のランウェーと見立てる、という細やかな神経をめぐらしていた」に違いないと思います。

とっさの行動と言っても、それだけの積み重ねと準備がなければできないことと断言しても良いと思います。

私は、現役の折に、2度ほど「バードストライク」を体験しました。そのうちのひとつは、貴重な体験として今でも鮮やかに蘇ります。

バンコックから成田に向かう飛行機でした。両翼に双発のエンジンそして後尾に一発の計3発のDC-10でした。離陸直後に「ドン」という腹の底に響くような音がして左一番エンジンから火が出ました。

機長から「バードストライクだ。一番エンジン停止したが、心配はない。これから乗客へ向けてアナウンスする。パニックにならないよう客室を頼む。」とのコールがありました。

その様子は全く平静そのもので、客室を預かる者としても信頼の絆を深める態度でした。

機は、40分ほど大きく旋回して、「フューエル ダンプ=翼の燃料を廃棄」して、機体を軽くした後、無事着陸しました。

離陸時に3発のエンジンのうち、1発がアウトとなった場合を想定して、普段から十分な訓練がされていること、心構えもあることを承知していましたので、緊張はしたもののいざというときに出る「力」で対処できたものと思えます。長い間の経験は、こういうときに滲み出るものと思いました。

~「4発エンジン」から「2発エンジン」となって、その信頼感は?~

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技術革新の結果として、双発のエンジンでも長距離を飛行することができる時代となってきました。ボーイングでは777、エアバスでは330などが双発ワイドボディーの典型です。

私の体験の中で更に、

DC-8-62型機に乗務、路線としてはとアンカレッジ・アラスカから日本へ向かう途中、エンジントラブルで(確か1番エンジンだったと思いますが、)1発停止してしまいました。ちょうど洋上で、半分を飛行したところでした。残り3発のうち1発を止めて、左右のバランスをとり、引き返すことも出来ず、一路東京へと向かいました。

乗客は、そうした異変に気付かぬまま夜間飛行の睡眠状態にありました。半分の地点からちょうど倍の飛行時間はかかりましたが、到着数時間前に、乗客には、事の顛末を説明いたしました。大幅遅延をしたものの「4発エンジンの安心感を体験しものです。

今、燃費という経済効率、騒音問題、加えてCO2対策問題などで、かつてのジャンボ機など4発エンジンは、次々に退役しています。

しかし、今回の「バードストライク」では、双発エンジンの両方がアウトになった場合、どうなるのか、ということをあらためて知らしめました。

経済効率がよくなることは、良いのだが、「いざというときの安全・安心」という点で、「4発」エンジン機の必要性が考え直されるかもしれません。より「進化した」4発エンジン装備の機材です。エアバスでは、A-340型機などがこれにあたるのではないでしょうか。

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米NY旅客機不時着水:「ハドソン川の英雄」 自ら乗客無事確認 機長、最後に脱出

毎日新聞 2009年1月16日 東京夕刊

気温氷点下6度のニューヨーク市で、ハドソン川に155人が乗った旅客機が不時着水した事故は、機体水没まで約1時間というわずかな時間で全員が救出された。ブルームバーグ・ニューヨーク市長は、「見事な着水をし、全員の脱出を確認した」と機長の対応を評価。地元メディアは「(機長は)ハドソン川のヒーローだ」と称賛した。 離陸直後にエンジンに鳥が衝突する「バードストライク」に見舞われた事故機のチェスリー・サレンバーガー機長(57)は、空港へ引き返すことが困難と判断すると、マンハッタン島などの市街地を避け機体をハドソン川に導いたとみられる。 ニューヨーク市中心部マンハッタン島の西側を流れるハドソン川は、着水現場付近では川幅が1キロ以上ある。この日は朝から雪が舞い、川は一部で凍りかけていた。 救助にあたったニューヨーク市消防局のトーマス・ミラント消防士が、複数の乗客の話として毎日新聞に語ったところによると、事故機は離陸してまもなく「ボン」という大きな音がして降下しはじめた。米メディアによると、機長は「衝撃に備えろ」とアナウンス。頭をひざに沈め祈る人もいたが、機内はおおむね静かで、パニック状態にはならなかった。

 乗客によると「かなりの速さで降下したが、機長がうまく機体をコントロールしながら着水した」という。米CNNテレビによると、着水後すぐに機内に冷たい水が入ってきた。だが乗客の男性は「みな冷静で、女性と子どもを先に脱出させた」と語った。 乗客は前方ドアに装備された緊急脱出用の空気ボートを展開させ乗り移った。一部の乗客は徐々に沈んでいく機体の翼の上に集まり、救助を待った。 市消防当局や沿岸警備隊のほか、現場付近を航行するフェリーや観光船も救助にかけつけた。 ミラント消防士は「20人ほどを救助した。乗客はみな腰のあたりまで水につかり寒さを訴えたが、みんなが生きて帰れたことを喜んでいた」と語った。

 操縦歴40年以上で米空軍でF4戦闘機の操縦経験もあるサレンバーガー機長は、最後に機内を2往復し人が残っていないことを確認後、自らも避難したという。

 ◇とても寒かった--日本人2人
 無事が確認された滝川裕己さん(43)と出口適さん(36)は、大阪市中央区の貿易会社「堺商事」の現地法人「サ
カイ・トレーディング・ニューヨーク」に所属。堺商事によると、2人はアラバマ州へ出張に向かう途中だった。事故後の16日午前9時過ぎにかけた電話で、滝川さんは「ゴムボートで避難した。とても寒かったが、けがもなく大丈夫だ」と話したという。【福田隆】

 ◇航空機に鳥衝突、羽田で年100回超
 国土交通省航空局によると、国内でも空港を中心に鳥による被害が報告されている。主要空港は海鳥の生息に適した場
所も多く、完全に追い払うのは難しい状況だ。 同省によると、国内で03~07年の5年間に航空機に鳥が衝突したバードストライクの件数は、72空港などで5691件に上る。このうち、最も多い羽田は▽05年126回▽06年118回▽07年172回--など、年間100回以上のペースで報告されている。

 国交省東京空港事務所は、航空保安協会に対策を依頼。毎日午前5時半~午後7時半、東西両地区で1日各5回、バードパトロールを行い、実包や空砲、花火などを使って、サギ、ウミウなどを追い払っている。 かつては、車に乗せたスピーカーから鳥が死ぬときの声を流して追い払っていたというが、現在は慣れてしまって効果がないという。また、10~3月までは冬場のカモ対策として、東地区のパトロールを1回増やしている。しかし、空港は「完全に追い払うのは難しく、いたちごっこ」と頭を悩ませる。【窪田弘由記】

 ◇着水は正しい判断--航空評論家の鍛治壮一さんの話
 状況から判断すると離陸直後に鳥が飛び込んでエンジンを止めたようだ。もしマンハッタン島に降りていたら同時多発
テロのようなことになりかねなかっただけに、機長のハドソン川への着水の判断は正しく、ラッキーなケースだと思う。鳥が巻き込まれることはよくあるが、機体が強化され普段はトラブルは多くない。鳥を巻き込むリスクは避けようがない

 ◇引き返したら失速--航空評論家の浜田一穂さんの話
 最近上映された映画「ハッピーフライト」でも、バードストライクの問題が取り上げられていたが、飛行機の歴史が始
まったときからある問題。ツバメ1羽でもエンジンに異常が生じるため、捕獲用にタカを放つなどさまざまな対策が試みられてきたが、難しい。機長はあらゆる事態を想定して訓練するほかない。今回も両方のエンジンが鳥を吸い込んで飛行不能になったとみられるが、空港に引き返そうと無理に旋回していたら失速して墜落した可能性が高い。

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コメント

機長の判断は的確で結果も上出来であった。
不時着水は言葉でいうほど簡単ではないらしい。海ではなくハドソン川(結構広いが)であったことは、波があまりなかったと思われる。波があればもし方翼が水にさわれば機体は転倒する危険がある。機長はグライダーのライセンスも持っていたというからその点は自信があったと思われる。

投稿者: M.Hari

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イイハトーブ(イーハトーブ)(GOOD NEWS)
» NY ハドソン川エアバス奇跡の着水 
1月15日 NY ハドソン川に乗員乗客計155名を乗せたエアバスが、両翼に鳥を巻き込んだためのエンジン停止 により、緊急着水。 奇跡的に全員無事に救助される事故が発生。  間一髪で悲惨な大事故となるところを、冷静な機長、乗組員の対処により大事に至らなかったことは、まれに見る快挙。 事故とはいえ、明るいニュースとなった。  ただし、今後の同様事故回避のためには、航空機の安全性確保に改善を望みたい。 参考までに、航空評論家 秀島一生氏のブログ参照されたし。  (http://hideshi......

Tracked : Jan 28, 2009, 2:03:16 PM

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