2005.12.31
2005年を振り返って・・。

~インシデントの連続は、「大事故」への道、
「社会問題」として、本気で取り上げなければ・・・。~
年末にかけて、これまで水面下に隠されていた「建築確認偽装問題」が、社会的に明らかになりました。今も不安とやりきれない思いで新年を迎えざるを得ない方々が沢山おられると思いますと胸が痛くなります。
公共交通機関においても、「JR西日本脱線の痛ましい事故」、そして年末に至っても「連続する航空のトラブル」、共通しているのは、「安全より利益を」の姿勢、そして「安全への規制緩和」でチェック機能もその任を果たさなくなっている、という実態です。
多くの犠牲者を出した「JAL123便御巣鷹山事故」から20年の年に、国交省からJALに対する業務改善命令が出されました。皮肉な現実です。
12月22日:
国土交通省は、3月の事業改善命令後に日本航空に対し続けてきた立ち入り検査の結果をまとめ、発表しました。その概要は、「安全への姿勢に改善が見られる」と確認したということです。しかし21日には、「エンジンの左右誤装着が明らかになる」など、しており、同省はさらに監視を続けるということでした。
12月26日:
脱出装置使えないまま飛行=「再発防止不十分」と謝罪-JAL系機(日本アジア航空)
というインシデントも発生。
12月27日:
「日航は“大企業病”」ということをメインに、有識者会議(座長/柳田邦男氏)が改革を提言したと報じられました。
国交省→
各エアラインに対して、もちろんJALに対しても「コスト削減の徹底」を勧めつつ、そのためには「安全への規制緩和」という点でも監督官庁として、協力するに近い形で航空法の改訂を行ってきました。こうした姿勢がどういう事態を招いているかという点には、まるで振り返る様子が見られないのは、片手落ちのような気が致します。その上、簡単に「改善が見られる」と断じてしまうのは、慎重さに欠けるのではないのでしょうか。
有識者会議の提言内容→
提言の詳細を目にしてはおりませんので、軽々しくは論じられないところですが、のべ4ヶ月かかり、出した結論が「組織の硬直化など“大企業病”が進行している」と厳しく診断した、ということですと、少々問題ではないかと考えます。つまり、これは、新しい所見でもなく、1972年、今から34年前です。私が乗務を開始して5年目、ニューデリー・モスクワ連続事故の同じ年、日本航空自身が研究所に依頼して調査した結果「巨大なる中小企業」、あるいは「人間関係は大企業として例を見ないほど悪い」「仕事への不満、疲労度が高い」「上司への不信は、調査の目盛りに入りきれないほど高い」などと公表されておりました。社内のものであれば、「何をいまさら・・。」という次元の提起ではないでしょうか。問題なのは、このように連綿として引きずってきた事態をどんな具体的な方法で解決するかということです。まくら言葉だけで改善できるようなことであれば、事ここに至ってはいないのですから。
まして、「重大な経営の方針を実践してきた、また今後も進める企業の中枢部門」と「経営の責任も権限も持たない現場」とをごちゃ混ぜにして、「全社員の発想の転換が必要」ということでは、何のための第三者有識者会議なのかと考え込んでしまいます。これでは、「安全運航第一」「安全こそ最大の商品」などとスローガンばかりありき、あるいは名目ばかりの「○○安全対策本部設置」などで、実際の中味は、安全と逆行してきた歴史に、どんな効き目が得られるのか、疑問を持ってしまいます。運航の現場や事故ご遺族の100名の方達と話したということですから、いっそ、今度はまったく違う100名の方たちに「この提言で明るい期待が持てるか」と率直に聞いてみてはどうでしょうか。
正直に申し上げて、「マッハの恐怖」を著された柳田氏座長ということで、私は、若干の期待もしていたのですが、誠に残念、という気も致します。
とはいうものの、全乗客の生命を預かる航空機の運航は、休みなく続いています。
きたる 2006年も 微力ながら、利用者の立場に立った声のボリュームを上げて、「コメント」を発信し続けたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
皆様、どうぞ良い年をお迎え下さい。
2005年12月31日記
コメント
2006/1/8 JAJの整備で、逆噴射装置ストッパーを抜き忘れるというお粗末なことがあった、以前にもあったとのことで、これは単なるチェックミスである。コックッピットでも読み上げと指差し確認をおこなうが、ちょっとしたことで防げることではないか。まことにお粗末。
投稿者: ハリ ミノル
コメントを書く
トラックバック
この記事に対するトラックバックのURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/26612/7915824
この記事へのトラックバック一覧です:
Copyright (C) 2001 - 2004 Hideshima Issei All rights reseved. p>
航空評論家 秀島一生のblog