2005.06.06
まさかの「ディ・コンプレッション」 発生!!
~緊急事態にも冷静な対応で、無事着陸
JAL047便、成田到着目前で・・。~
5月12日 フジテレビ ”とくダネ”に出演、コメントいたしました。
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5月8日、ニューヨークから成田へ向かっていた日本航空47便に、ディ・コンプレッション(いわゆる急減圧)が発生しました。同機は北海道の南東約370km付近の太平洋上を高度1万1000mで航行中でしたが、機内の与圧が急激に低下したため、急遽高度3000mまで「緊急降下」し、新千歳空港に緊急着陸しました。
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原因は、事故調査委員会によって解明中とのことですが、与圧を調整する「アウト フロー バルブ」に何らかの異常が発生したのではないか?といわれています。
ところで、こうした「急減圧」のケースは、めったなことで起きることはなく、私の30年の乗務経験でも遭遇したことはありませんでした。2005年2月にスカイネットアジア航空119便でも「酸素マスク」が落下し、緊急降下した事件がありましたが、計器上の問題で、現実に機内の空気が漏れ、気圧が低下する事態ではなかったように聞いております。
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1万メートル以上の高々度を飛んでいる時でも、機内の気圧は、富士山の6合目程度(0.8気圧)3000㍍に与圧されています。旅客として搭乗しているときは、地上にいるときの気圧(1気圧)よりやや低めの中にいるとは、あまり気がつかないものですが、お酒やビール・ワインを飲むと約2倍の「酔い」が回ります。酔った自覚がないものですから席を立ってトイレに行こうとした途中で「失神!」というケースは、珍しくありません。また、高度4万フィート周辺を航行する場合は、さすがの客室乗務員も動き回ると「ふー、ふー」いってしまいます。
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この「急減圧」では、酸素が含まれた機内の空気が機外へと吸い出されてゆきます。そのイメージは、映画で目にしている方も多いと思います。私はつい最近観たのですが、映画007シリーズ「Die another day」にもこのシーンが映し出されていました。幸いにして今回のケースは、機体が大きな損傷(大きな穴など)が開いたわけではなかったようなので、いわゆる「スロー ディ・コンプ」--比較的ゆっくりとした減圧ーーの状態だったようです。ボーイング747機材では、機内の気圧が高度4340㍍=14000ftになると、自動的に「酸素マスクが落下し、供給システムが作動」し、同時に「緊急降下中」のアナウンスメントが流れるようになっています。
ちなみに、人間にどんな状態が起きるかといいますと「低酸素症」です。有効意識時間といいますと、
12400㍍(40000ft) では 15秒、10700㍍(35000ft)では、45秒です。
緊急降下をしないと酸素マスクなしでは、あっという間に意識を失うということです。その上始末に悪いのは、段々意識をなくすのではなく、「大丈夫!」と思っていても突然意識を失う症状になるのです。
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6100㍍(20000ft)まで降下しますと、マスクなしでも、10分程度は持ちこたえられます。
コックピットのパイロットは、こうした事態に備えて、「5秒」で酸素マスク装着できる訓練を受けています。また客室乗務員も安全高度3000㍍(10000ft)に至るまでは、着席して酸素マスク装着、その後はポータブルの酸素ボトルを背負って乗客の援助にまわるという厳しい教えを受けています。
普段訓練を受けている乗員・乗務員でもこの事態は、大変な緊張化におかれたことと思います。
今回のケースでは、乗員の冷静な対応には大きな拍手を送りたいと思いますが、それ以上に私が感心したのは、満席に近い中で、乗客の皆さんが慌てることなく、一人一人が「酸素マスク」を手にして、安定高度まで耐えたということでした。
今回は、SNA機に続いた形で、JAL機で事件は発生しましたが、「備えあれば憂いなし」の機体の安全性、非常機材の点検に緩みはないか、など 航空全体に 問題を投げかけている点もあろうかと思います。
利用者としても、「安全性の高さ」をエアラインの評価基準にしてゆく眼を持つことも迫られてきているのではないでしょうか。
コメント
非常に読みやすく,わかりやすい解説を興味深く読みました.
私は低酸素症に弱く,GPSを見ていなくても,37000ftを越えると体に痺れが来るのですぐにわかります.かつてANA機が41000ftまで上昇したときや,UA機が低気圧帯の上空を39000ftで航行したときは,痺れ・息苦しさ・気持ち悪さに襲われて非常に苦しい思いをしました.
パイロットは,大変に厳しい訓練を受けておられ,またもともと体も丈夫な方ばかりですので,揺れを避けるなどの目的のためにあまり苦もなく上昇されますが,私はそのたびに倒れそうになりますので,是非とも35000ft以下での航行をお願いしたいと切に思っております.海外出張が多いので,是非,こうした意見が伝わることを祈ります.
投稿者: かえる
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