2004.04.01
<エコノミークラス症候群>
「すべての空の旅は、エコノミークラスからはじまる!」
これまで、エコノミークラス旅客が成田到着時、降機した直後に倒れるという、いわゆるエコノミークラス症候群の発生があり、、このために死亡するという事態さえもおきており、日本でもいまや社会問題化している。最近でも、世界各地の空港から同事態のレポートがされている。
医学的には、深部静脈血栓症(DVT)あるいは、肺塞栓症といわれており、簡単に言えば、足の静脈に血のかたまりができ、その血栓が肺につまって呼吸困難や心肺停止を招く。飛行中の航空機内では血液の流れが悪くなり、血栓ができやすい。足にできた血栓が、到着後に歩き始めたことで、血液にのって肺に入り、肺の血管をつまらせてしまう、と言う事らしい。
さて、原因と言うことになるとこの症候群解明のために、年齢別・性別などで離陸から着陸まで詳細にデータを取って示した事例は、まだないようだが、少なくとも、発症後の手当てに携わった医師の方々達の意見としては、狭い(狭すぎる)場所に長時間座り続けたことが、共通して上げられている。
そもそも、フライトタイムの長時間化は、DC-8-62型機からはじまり、B-747いわゆるジャンボ機の登場で飛躍的に航続距離が伸びることとなった事に起因している。例えばかつては、日本からロスアンゼルス、サンフランシスコには、ホノルルを経由してニューヨークには、アンカレッジあるいは、モスクワに途中給油のため寄港したものである。この寄港地で旅客は、いったん機外に出され、フレッシュエアーに触れ、手足を伸ばす事ができた。経由することは、どだい直行便の便利さにはかなうものではないが、案外こうしたショートブレイクが健康をプロテクトしていたとも思われる。
しかし、現状に立ち戻ってみれば、もはやこうした経由便は、存在しない訳で従って旅客の選択範疇にもない。
こうした事態、つまり東京/ニューヨーク13~14時間、東京/ヨーロッパ11時間以上 とかかるなかで、例えば日本航空はじめとして日本系のエアラインは、旅客に対して長距離路線のエコノミークラスでは、予防策のひとつとして水のペットボトルを各人1本ずつ提供する、座席で出来る予防運動のビデオを機内で流すなどを打ち出した。
もともとのエコノミークラス運賃のコスト面を考えれば、シートピッチを広げるなど論外と言う考え方もあろうが、飛行機に乗れれば良いという時代から、“少なくとも最低限の快適性ぐらいは確保して!!! ”と言う強い声が深くひろがっていることにもしっかり目を向けねばならない事態にきているのでは、ないだろうか。
いま、収益性の高いビジネスクラスには各社とも、これまでの30%増以上のスペースを割いたり、機内エンターテイメントの増強をはかるなどして快適性を向上させ販売競争を激化させているなかで、この症候群の問題提起にどう対処するかが、”安全性と快適性” を商品とする各航空会社としての試金石になっていくことは、間違いないといえる。
既にアメリカン航空のように、使用機材全般にまでは至ってはいないものの「全クラスのお客様に等しく快適性を」と銘打ってビジネスクラスを14席削ってスペースをエコノミークラスに振り向け、シートピッチ31インチから34インチに改善させている所も出てきている。またこれを追うように
ユナイテッド航空では、エコノミークラス内に一部34インチのシートを創っている。
各エアラインとも、食事やその他機内サービスは別としても、人間として最低限必要なスペースを提供するという姿勢を他社がやったから当社も対抗上・・・ということなく各々の自主性で示していってもらいたいと願うものである。
現在の航空産業発展のいしずえが、ジャンボ機・エアバス等の大量輸送時代の幕開けに築かれたこと、そして“全ての旅は、エコノミークラスより始まる”ことを航空関係者はもって銘記しなければならないと思う。
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