2004.02.03

☆ 大空のファンタジー ☆

「洋行」「渡航」「舶来」といった言葉たちは、もはや、死語化しているというのが共通認識なのでしょうが、私は、御先祖様の頃からの“島国ニッポン”のと外つ国への強い好奇心と切ないあこがれを表している様にも思え、いまだに愛着を感じています。
もともと「船」で始まった「洋行」なのですが、時の移ろいは、その主役の座を、「飛行機」へと受け渡しました。スターボードサイド、ポートサイド(皆さんが搭乗する側です)シップ(機体)パーサー(事務長)などの言葉は、船からそのまま受け継いでいます。そして、日本人のヤマトごころは、世界から見れば「異常に探究心の強い民族」とみられるほどに至っています。これまで、この国が、どんなに好不況の波に揺られ揉まれても、他の産業が落ち込んでも、航空産業だけは、右肩上がりを長い間続けてこられたことからも、その底力が伺えます。

~夢が現実へ手繰られた時~

「世界中どんなところにいっても、日本人を見ないことはない。」という世界の定説ができるまでの裏側には、乗員・乗客両面のドラマがありました。プロペラからジェット機に変わっても、「運賃が高い。」「海外渡航の制限」という枠があり、海外へいくことは夢のまた夢でありました。「×××を飲んで、ハワイへ行こう!」の名キャッチフレーズや「アップダウンクイズ」の目玉賞品はハワイ旅行でした。今では考えられない価値がそこにはありました。そして、プレスリーの映画「ブルーハワイ」が火を点け、熟成した、ハワイ願望は、「海外旅行」と「ハワイ」は、同義語かと錯覚するほどに育ちました。更に「日本国ハワイ県」状態は、現在でも依然衰えを知りません。また、アメリカの象徴といえば、遠い「ニューヨーク」ではなく、堀江青年が、裕次郎さんが、潜り抜けた金門橋の「霧のサンフランシスコ」でもあったのです。ここはゴールデンブリッジではなく、あくまで金門橋のイメージです。
しかし、B-747いわゆるジャンボ機が出現したことで、この状態は、一変しました。グループ運賃の導入で世の中が変わったのです。「誰でもいける海外、手が届くハワイ」となりました。
一方で、迎える機内も、ファースト・ビジネス・エコノミーのスリークラスとなり、快適性の差別化もされてゆきました。

~クルーの世界にも、新たな波が~

そして、利用客の激増は、航空会社の便数増であり、これに対応して乗員・乗務員も大幅に増やさなければなりません。運航乗員(パイロットなどのコックピット クルー)のリクルートは、それまでアメリカのパイロット派遣会社から派遣してもらう、自衛隊から募集する、航空大学校卒業者を採る、しか選択肢がなかったのですが、航空会社が自社養成する道も開きました。客室乗務員も1年に一回の採用では足らず、年に何回も募集し、採用するようになりました。普通の大学を卒業して入社したパイロット候補たちは、はるかカリフォルニアのナパ(あのカリフォルニア ワインで有名なナパです。)でプロペラの小型機から始まる長い訓練を受けて、厳しいチェックをパスしていかねばなりません。休みの日といっても周りに遊興施設などあるわけもなく、唯一ストレスを解消するのは、ゴルフでもするしかない環境だったようです。一般的には、羨ましい話といえますが、ご本人達からすれば、閉じ込められた中での工夫というのが実態でしょう。現在でも、キャプテン(機長)には、とんでもなくゴルフの上手い方が多いというのも、どうもその源流はここにあるようです。また、客室乗務員(スチュワーデス/キャビン クルー)に求められていたものも、変化しました。「あなた方は、外国へ出たら、民間の外交官なのです。皆さんに見られている事をいつも忘れないように!」ということが、基本的な教えとされていました。こんにちでは構え過ぎといわれてしまいそうです。客室乗務員訓練に先行して、国際人としてミニマム必要なマナーと知識」などをじっくり時間をかけて教えていた訳です。

~さま変わりする「機内の模様」~

これまで航空会社の現場では、機内で受け取る「コメントカード」は、「ビジネスクラス」からが大半、というのが一般的認識でしたが、最近では、若いエコノミークラス客からの「苦情・意見・コメント」が圧倒的に増えてきたといわれています。確実に全国民的に旅慣れてきた証拠でもあり、エコノミークラスといえども「遠慮なく苦情を言う」ふうに変化してきたように思えます。また、パッケージより個人旅行、代理店を通さず、インターネットで旅を選び予約する傾向は一層強くなってきています。
ドラマの効果もあって、パイロット志望者は跳ね上がりました。「外国へいける」という客室乗務員の特権も、誰でも手軽に海外へ行けるという中で、やや色褪せてきたのでは・・。と思えるのですが、今でも希望者は殺到しているようです。

どうやら「大空のファンタジー」の魔力は、旅客もクルーも、触れてくる者、みんなを捕らえて、放さないようです。

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