2003.07.21

航空機操縦中に、居眠りが出てしまったら?

~交代なしの『長時間連続操縦 フライト』は、大丈夫なのだろうか?~

トラック4時間以内へと監督・指導があったが、航空の場合は、9時間を超える連続操縦にもかかわらず、未だに乗員交代で疲労を緩和するの措置がとられていないフライトがある。
空の場合は、そのままなのだろうか。気になって仕方がない。

現場の機長はじめ操縦士から長い間「危ない。眠くなる」と指摘され続けてきたサンフランシスコ線のことを、厚生労働省は、知らないはずはないと思うのだが。

もともと、ジェット機が運航されるまでは、レシプロ(プロペラ)機が中心で
長距離を飛びたくても、燃料補給なしでは、連続飛行もできなかった。そのため、経由地で燃料補給と同時に乗員交代も行われてきた歴史がある。しかし、ジェット機の出現から始まり、足(飛行距離)がどんどん伸び、いまやヨーロッパ・アメリカ本土・オーストラリアまでドアトゥドアでの飛行が可能となっている。この結果、本来連続9時間以上のフライトは、人間の限界を超えているから飛ばない。とされていたものも、現実に物理的に飛べる以上、運航させるためには乗員の疲労を緩和してでもこれを可能にしたい、ということから、「飛行途中の機内で、乗員交代する」ことを経て、運航されてきた。
しかし、1992年の「航空局技術部長通達」によって、機長・副操縦士の2名乗務の場合の乗務時間制限は、8時間から12時間への延長する(=交代なしで12時間連続操縦OKですよ、ということ。)など疲労軽減に逆行する行政が行われてきて、今に至っている。
私が、現職の頃から、サンフランシスコ線では、コックピットから、眠さがつらい。着陸前にはぼーっとすることがある」などの生の声も、耳の奥に残っている。


更に、『安全会議アンケート』では、
航空機の操縦士(運航乗員)から

「夜間、徹夜、長時間、2人乗務で交替のないとき眠気に勝てない。着陸前に寝ていたことがある。」 「関西―ロス、成田―ロス、成田―シスコ、到着時刻が日本時間早朝(深夜)なので、到着が近づくたびに眠気との闘いです。一瞬ですが寝てしまったことが何回もあります。」 「乗員は皆疲れています。長時間乗務の結果、極度の疲労の下でINCIDENTが起きています。ACCIDENTにつながるCHAIN OF EVENTSのひとつひとつのような気がします。」 「2人での長時間乗務はグローバルスタンダードから言っても、人間の生理的な面からも日本は異常。問題あり。日本の根拠はNASAの研究結果に比べて問題あり。」


編集者注)INCIDENT=インシデントとは、「航空機の運航に関連して運航の安全に悪影響を与える、もしくは与える可能性のある事柄で、航空事故(ACCIDENT)以外のもの」をいいます。いわば、事故という形では出てこないけれど複合すれば事故に繋がる恐れのある事態ということです。                    


等切実な声も上がっています。

航空機は、地上の車どころのスピードではない上、立体空間を飛行する訳だから、ひとたび間違いが起これば、悲劇的な結末となる危険性がある。
しかし、トラック事故のように多発・再発で尊い人命が失われないと是正指導されないのだろうか。
厚生労働省・国土交通省など関係各機関は、現場の声に耳を傾け、方針を一元化し早急な改善を行うべきといえるでしょう。

【資料】

【資料①ニュース】

 ☆1日の運転は9時間以内に!トラック事故多発で厚労省

時事通信ニュース速報
[2003-07-17]
◎運送会社を初の全国一斉指導へ=相次ぐトラック事故受け-厚生労働省
 高速道路などでトラックが関係する事故が相次いでいることを受け、厚生労働省は17日、9月に全国一斉で労働基準監督署が運送会社を指導するなどの緊急対策を実施すると発表した。労基署による運送会社への全国一斉指導は初めてという。

共同通信ニュース速報
                [2003-07-17]
 長時間運転による過労が原因のトラック事故が多発しているとし
て、厚生労働省は17日、都道府県労働局、運輸関係団体に対し、
1日の運転時間を9時間以内にするなど労働基準法を順守するよう
監督・指導の強化を求める通達を出した。
 トラックが関連した多重事故は、愛知県新城市の東名高速道路で
6月、4人が死亡。その後も重大事故が相次いでいる。
 通達は①1日の拘束時間を原則13時間以内にする②連続の運転
時間を4時間以内にする―などを定めた大臣告示をトラック事業者
に順守させることを要請。9月には事業者に対する一斉の立ち入り
調査を実施する。
 さらに、異なる事業所でも労働時間を通算することを踏まえて、
労働時間の管理をするよう求めている。
 愛知県音羽町の東名高速で6月下旬に11人が死傷、長野県の中
央自動車道では7月上旬に5人が死傷する多重事故が発生。いずれ
もトラック運転手の長時間労働が事故原因の一つとみられている。
(了)


【資料②】 『航空安全推進連絡会議の
          民間航空の安全確保に関する要請書 』より抜粋
                 
  注/ 航空安全推進連絡会議(略称;航空安全会議)は、官・民の航空労働者64組合2万2000名で組織され、1966年の結成以来32年にわたって民間航空の安全確保に努力してきた我が国における民間航空最大の団体です。

   ☆運航乗務員の乗務時間制限及び勤務基準等について☆


1.1992年12月21日付の航空局技術部長通達「定期航空運送事業者の行う国際運航に従事する航空機乗組員の 連続24時間以内の乗務時間制限及び編成に関する基準」の一部改正(空航第985号)(2名編成機のシングル編成における乗務時間制限の8時間から12時間への延長)を撤回すること。
  また、この通達の基となった検討委員会の報告が、科学的かつ合理的であるとしている航空局の見解の根拠 を明らかにされたい。

(1)、国際民間航空条約第6付属書には、「飛行時間及び飛行勤務時間制限は、飛行乗組員の疲労が飛行の安全に悪影響を及ぼすかもしれない可能性を減少することを唯一の目的」であるとしたうえで、「飛行時間制限に関する規定又は規則を告示する場合、(中略)国又は運航者は、次の要素に重点を置くべきである。すなわち、交通密度、航法及び通信施設、仕事と睡眠周期のリズム、着陸及び離陸の回数、航空機の取り扱いと性能特性及び気象状態である。」と明記されている。
 一方、航空安全会議が国内の全乗員に対して長時間乗務について行ったアンケートの声が次のように実態を物語っている。
「夜間、徹夜、長時間、2人乗務で交替のないとき眠気に勝てない。着陸前に寝ていたことがある。」
「関西―ロス、成田―ロス、成田―シスコ、到着時刻が日本時間早朝(深夜)なので、到着が近づくたびに眠気との闘いです。一瞬ですが寝てしまったことが何回もあります。」
「乗員は皆疲れています。長時間乗務の結果、極度の疲労の下でINCIDENTが起きています。ACCIDENTにつながるCHAIN OF EVENTSのひとつひとつのような気がします。」
「2人での長時間乗務はグローバルスタンダードから言っても、人間の生理的な面からも日本は異常。問題あり。日本の根拠はNASAの研究結果に比べて問題あり。」
 このような実態を見れば、現在の二名編成機のシングル編成における12時間の時間制限は、国際民間航空条約第6付属書の主旨に反するものであり、早急な改善が必要である。

(2)、1999年11月25日、東京地方裁判所は、日本航空乗員組合によって求められた「勤務義務不存在等確認請求」に対し、判決を出した。それには、「シングル編成による2名編成機で予定着陸回数が1回の場合、連続する24時間中、乗務時間9時間を超えて、又は勤務時間13時間を超えて予定された勤務に就く義務のないことを確認する」とある。
 その判決理由として以下のごとく安全性の劣化を主な理由としている。
「長時間に及ぶ乗務が続くと、運航乗務員の作業能力と覚醒度が低下し、長距離運航に特有の油断、自己満足の問題が生ずるので、休憩なしで長距離運航に運航乗務員を従事させることは、重大な過誤に結びつく危険がある。離陸から8時間ないし9時間経過すると運航乗務員の作業能力と覚醒度が低下してくるが、シングル編成による新世代2名編成機は、変則的な事態が発生した場合には、シングル編成による3名編成機よりも機長又は副操縦士の仕事量が多いから、離陸から8時間ないし9時間経過したあとに変則的な事態が発生した場合については、シングル編成による3名編成機よりも安全性において劣る」
  さらに、「したがって、シングル編成による3名編成機の長距離路線の運航実績が、シングル編成による2名編成機の運航の安全性の根拠となるということはできず、検討委員会の提言は、合理的な根拠に基づくものとはいえず、相当ではない。本件(日本航空の)就業規定は、このように科学的、専門技術的見地から相当であるとはいえず、被告(日本航空)があらかじめ安全性について十分検討した上で安全性を損なわないように内容を決定したと認めるに足り(カッコ内航空安全会議)」ないとしている。
  これは、乗務時間制限に関する技術部長通達が、科学的合理的根拠の希薄な提言に基づいたものであることを指摘している。これに対する当局の見解を明らかにされたい。
 更に、この通達の根拠となったJAPAの答申について、日本航空機長組合とJAPAとの話し合いが2000年11月30日に持たれた。この中でJAPA会長の桜庭氏は次の様に語っている。                    

「(答申の)委託者が行政で協会が受託したのであるが、その辺の記録は整ってな く正確には伝わっていない。」

「当時の協会は理事会のコミュニケーションが良くなく、理事会の中でも聞いていないという人がいたそうだ。」

何としても以前のことなので我々も判らない。」(たが、国としてもJAPAに対し、JAPA NEWS NO.77より)この様に、現会長は曖昧な返答を繰り返し現理事会が責任を持ってこの答申を引き継いでいるか否かを今一度確認すべきである。

(3)、乗務時間制限延長に関する交渉の中で、局は「国の定める基準は安全を保障するという考え方ではなく、  各社の基準が、国の基準の内側にあれば問題がないということであって、運航の責任は航空会社が持つ」と答えている。一方、日本航空は、東京高裁に2000年6月30日に提出した控訴理由書の中で、「(国際民間航空条約によれば)我が国に於いては運輸省が安全基準の制定及び基準への適合を確保するための施策の実施の責任を負い、その役割を果たしている」と述べ、国の決めた枠の中に制限を設定しているので安全性の問題はないとの姿勢を見せた。まさに、国と日本航空がお互いに責任の転嫁をしている状況である。このような状況は早急に是正されるべきであり、局の真摯なる対応を求める。

(4)、これら長時間乗務の問題に関し、1998年4月の参議院交通情報通信委員会で、運輸大臣は「安全の確保は重大。議員の指摘を念頭に置き最善の努力と適切な対処をしたい」と答弁された。
 さらに2000年3月、航空労組関係者との会見で運輸大臣は、「話し合いできるところはしっかり話し合っていく。私もこれからもう一度よく検討する。」と発言されている。その後、どのような努力、対処あるいは検討がなされたのか、明らかにされたい。

(5)、1999年の交渉で、「(シングル編成においては)計画の段階で12時間を超えるのであれば運航してはならない」旨発言されているが、この「計画の段階」とは、個々の便の飛行計画が立てられた段階と解釈してよいのか回答を頂きたい。

2.欧米では、このように著しく劣悪な乗務時間制限を課している国はない。国の考え方がどのように運航実態に反映されるのか、一例として、ユナイテッド航空と日本航空との比較を挙げる。

(交代乗員)
ユナイテッド航空
  ・乗務時間8時間超から12時間以下は1名
  ・乗務時間12時間超から16時間以下は2名(2セット)
  ・16時間超の交代乗員の数については別途協議する
日本航空
  乗務時間11時間超は1名

(着陸回数)
ユナイテッド航空
  8時間を超えるフライトでは1回に制限される
日本航空
  交代乗員がいれば無制限
    1999年の交渉で、「JAA,FAAの状況を見ていく」との回答があったが、FAAやJAAの動向について、どのように状況を把握し検討しているのか、明らかにすること。

3.前述の東京地方裁判所の判決文において指摘されている勤務基準について、労使の間で合意がなされるまで、1993年10月以前の基準に戻すよう日本航空を指導すること。


  指摘された勤務基準とは以下の通りである。


(1)、シングル編成で予定着陸回数が2回の場合、連続する24時間中、乗務時間8時間30分を超えて又は勤務時間13時間を超えて予定された勤務に就く義務のないこと。


(2)、乗務割上の一連続の乗務にかかわる勤務を開始後その終了前に、既に着陸回数に応じた乗務時間制限又は勤務時間制限を超える事態が発生しており、又は更に勤務を継続すればこれを超えることとなる事態が発生した場合において、機長が他の運航乗務員と協議し、運航の安全に支障がないと判断したときでない限り、その勤務を完遂しなければならないとの義務がないこと。

(3)、国内線の乗務は連続3日を超えないこと。


(4)、国際線については、待機(スタンバイ)に先立ち、あらかじめその対象便として指定された2つの便とその間の便でない限り、乗務する義務のないこと。


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コメント

TBさせていただきました。

投稿者: NMA

乗員の悲鳴を代弁していただき、ありがとうございます。
DECOMPの際のTVでのコメントで、秀島様が間違ったコメントをしていたということが社内のMLで話題になったため、CABINが知ったかぶりをしてると 斜に構えて?初めてBLOGを見せていただいたのですが、真摯なコメントばかりで信頼感を感じました。
これから ちょくちょく寄らせていただきます。

投稿者: POPPY

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浅川@NMAです。 私は日本の大動脈と呼ばれる「東名高速 」をよく利用します。理由は名古屋方面などへ行く用事があるためです。 東名高速といえば、トラックが多い事が有名です。特に夜間は、トラックばかりの間を走ることになります。自動車でも怖い思いをする事が多く...

Tracked : Nov 5, 2005, 1:37:39 AM

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